スポンサー企業のコンサルティングも

 Jリーグアプリを通じて収集したデータを使えば、スポンサー企業に対するJリーグの役割が変わってくる。「(アプリ開発に当たって)協賛企業にとってのJリーグの価値を可視化できるようにして欲しいとする営業サイドの要望が大きかった」(杉本氏)。

図3  Jリーグデジタル コミュニケーション戦略部 部長の杉本渉氏(左)とJQ 代表取締役社長の下田幸祐氏
図3  Jリーグデジタル コミュニケーション戦略部 部長の杉本渉氏(左)とJQ 代表取締役社長の下田幸祐氏
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 今回のアプリでは、通常のJリーグへの協賛とは別に、アプリ単体への協賛を募った。そして協賛企業の抱える課題を解決する手段となる機能をアプリに組み込んでいる。例えば、イオングループの各店舗には、ユーザーが1日に1回チェックインできる。決められた回数チェックインすれば、メダルを獲得できる。アプリを通じてユーザーがイオングループの店舗に習慣的に足を運ぶように促す仕組みである。

 今後は、従来のように*スタジアムのスタンドやピッチに看板を出したり、選手がパートナー企業のイベントに参加したりするやり方だけではなく、デジタルを活用したパートナー企業への価値提供方法を考える機会が増える。「アプリはその実験場でもある」(同氏)。

 杉本氏は、「これからはJリーグが企業のコンサルティングをする必要がある」と語る。実際、「クライアントとの最初の会議では、『あなたの会社の課題は何ですか』という会話から入る」(同氏)という。スポンサーとなるクライアント企業の宣伝部に入り込んで、その時のJリーグのアセットを使って課題を解決する。電通とアプリを開発したのも、こういった施策で協力を得るためだ。

10カ月のスピード開発

 クラブJリーグは2016年10月から要件定義を開始し、2017年8月にリリースした。開発期間は約10カ月だ。同アプリはさまざまな他のシステムと連携する。例えば、JリーグIDを管理するためのログイン基盤や、チケット販売事業者のシステム、試合速報やニュースの配信システムなどである。

 「これほど多くのシステムと連携するアプリの開発には、一般的に1年半~2年はかかる」と開発プロジェクトのマネジメントに携わった下田幸祐氏(JQ 代表取締役社長)は言う。「Jリーグと電通の意思決定の速さが開発期間の短縮に大きく寄与した」(同氏)格好だ。