我々は94%のファンのことを分かっていない

 FanCompassはスポーツチームを対象に、コンサルティングを行っている。同氏はスポーツテクノロジー業界で15年のキャリアがあり、スポーツデータコネクションやCRM(顧客関係管理)を専門領域として持つ。

FanCompassのパーディ氏
FanCompassのパーディ氏
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パーディ氏 「スポーツ業界における問題は何か。その一つは、私たちがファンのことをよく知らない点です。好きなチームであっても、94%のファンは実際のライブイベントには来場しません。スタジアムに来る6%の人たちをベースに意思決定しなくてはならず、94%は何を考えているのか分かっていないのです。二つめは、チームのサイロ化(企業のある部門が他の部門と情報を共有したり連携したりせず、孤立した状態になること)です。各部門の人々が集まり、皆で考えることが重要です」

 「そして、ファンのデータベースにエンゲージしてそれを育てる最適なタイミング、CRMを育てるタイミングはいつなのか。答えは“いつも”です。データ収集は年に何回やればいい、シーズンごとにやれば良いというわけではなく、常に何かをやっていなければいけません。データ収集には季節性があり、常に可能性があります。例えば、クリスマスまであと12日あったとしたら、その期間中にさまざまなキャンペーンを打てます。データ収集、モーメント、シーズンも大切です」

シーズンごとのデータ収集をグラフ化したもの。全ての月でデータ収集を行っているスポーツ組織はない
シーズンごとのデータ収集をグラフ化したもの。全ての月でデータ収集を行っているスポーツ組織はない
(図:FanCompass)
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パーディ氏 「サッカーのプレミアリーグに加盟するリヴァプールFCの例(下の図)ですが、この時は異なる複数のキャンペーンを行っていました。チームのトリビアや商品・チケットの購入などが、一つのデジタルプラットフォームでできるようになっています。どのキャンペーンにお客様が来ても、必ず何か参加できるキャンペーンがある。デジタルで出稿するスポンサーにとっては、非常に重要なことです。インベントリ(在庫)を抱えて、きちんとファンにエンゲージしなければならない。そうすることで、スポンサーの投資も大きくすることができると思います」

FanCcmpassがリヴァプールFCに提供しているデジタルプロダクト。「Enter To Win」から、チケットや商品の購入ができる
FanCcmpassがリヴァプールFCに提供しているデジタルプロダクト。「Enter To Win」から、チケットや商品の購入ができる
(図:FanCompass)
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パーディ氏  「ファンのチームへの熱意は常に高いわけではなく、必ず上がり下がりがあるため、きちんとコンテンツを揃えておくことが大切です。データをただ収集すれば良いというわけではなく、マネタイズできるデータを集めなくてはなりません。マネタイズできないデータなら収集しないことです。コンテンツがあれば毎日ちゃんとマネタイズできるはずです。ファンエンゲージメントでファンの熱意をお金に変えていくことが非常に重要だと思います」

ファンのチームに対する熱意は一定ではなく、上下がある
ファンのチームに対する熱意は一定ではなく、上下がある
(図:FanCompass)
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