特別賞も2作品が受賞した。昭和女子大学のFC.CLAが開発したスマホアプリ「次の日本代表を探せ!」と、完倉信宏さんが手がけたデータ分析「チーム“走力”についての考察」である。

国民全員がデータを駆使する夢

写真●特別賞を受賞したスマホアプリ「次の日本代表を探せ!」は、昭和女子大学のFC.CLAがファン層拡大を狙って開発した
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写真●特別賞を受賞したスマホアプリ「次の日本代表を探せ!」は、昭和女子大学のFC.CLAがファン層拡大を狙って開発した

 前者は、トラッキングデータ上似ている選手を自動的に抽出するもの。友人の間でJリーグ選手の知名度が低かったことから、データによってもっと選手を知ってもらおうというアイデアである。

 顔や名前がよく知られている日本代表選手からJリーグの選手を選ぶと、身長・体重、出場時間、ゴール数、走行距離などがよく似たJリーグの選手をピックアップして教えてもらえる。「いかに新しいファンをスタジアムに呼び込むかは、Jリーグとして大きな課題。それをアプリという形に落とし込んだのが素晴らしかった」(審査委員のデータビークル西内啓氏)

 後者は、選手の走行距離と試合結果の関連性に注目し、チームの戦術を導き出そうというものだ。「例えば湘南ベルマーレは、他のチームに比べて“よく走る”。その理由は、コンディションのよい若い選手を起用し、入れ替えながら戦っているから」――。そんな様子をデータによって浮き彫りにした点が評価された。

写真●完倉信宏さんが手がけたチームの戦術を導き出すためのデータ分析「チーム“走力”についての考察」も特別賞を受賞した
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写真●完倉信宏さんが手がけたチームの戦術を導き出すためのデータ分析「チーム“走力”についての考察」も特別賞を受賞した

 コンテスト会場に特別審査委員として招かれたサッカー元日本代表の北沢豪氏は、選手側の視点からデータの意義は大きいと語る。「選手時代、私はよく走っていた。試合後、どんな走りをしたか映像などで振り返り、検証していた。もし当時データがあれば…」とうらやましがる。「無駄な走りをして消耗していないか、本当に勝利に結びつく動きをしているか選手は常に知りたい。データによって走りの量と質を両立できるはず」とも語る。

 魅力的なアイデアが相次いだことから、Jリーグは2回、3回とコンテストを続けていきたい考えだ。「国民全員が監督となり、カフェやバーでどうすれば日本のサッカーが強くなるかデータで当たり前のように議論し合う。そんな環境をぜひ整えたい」(中西常務理事)。スタジアムだけでなく、日常生活の中でサポーターがチームや選手と深い絆で結びつく光景が日常になれば、サッカー先進国としてもう一度W杯を招致する夢がかなうかもしれない。