実はゲートボール界ではこれまで、試合データを克明に記録したくてもできなかった事情がある。というのも競技ゲートボールは、5人一組がチームとなって1打を10秒以内に打ち合うというルール。1試合30分当たりの総打数は約200。縦15メートル、横20メートルのコートを縦横無尽にめまぐるしくボールが行き交うことになる。

 「公式スコアラーが、点数の経過や選手の交代の様子などを試合を見ながら鉛筆で記録するだけで手一杯だった」(鈴木部長)。ボールがどこからどこに行ったといった勝負を左右する情報が大切なことは分かっていても、リアルタイムに取得して残すことが難しかったのだ。

野球やサッカーのノウハウを生かせ

写真●グラフなどビジュアル面で工夫を凝らした
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写真●グラフなどビジュアル面で工夫を凝らした

 連合関係者が門を叩いたのが、スポーツデータ分析の専門企業であるデータスタジアム。同社はプロ野球やサッカーJリーグなどの試合に関するデータを収集・分析しており、メディア向けに情報提供している。チームやリーグからの要望で専用の分析ツールを開発した実績も多い。「Jリーグのように、ボールの位置や方向などを事細かに記録する手立てを一緒に考えてくれるのではないか。そう期待して相談した」(野上課長)。

 データスタジアム側にとっても、渡りに船の話だった。連合との窓口役を務めている新規事業推進部の池田智史氏は「野球やサッカーで培ったノウハウを、他のスポーツに展開できないか興味をもって注視していたところだった」と明かす。

 同社のスポーツデータ分析の手法は、試合映像をコマ送りのように見ながら、選手やボールなどの動きを事細かに数値に置き換えていくというものだ。戦術が時代とともに変わることも踏まえ、一見重要でなさそうな動きも含めて、可能な限り多くの情報を記録する点にこだわりがある。厳しい教育を受けたエキスパートだけが分析に携われるとあって、データの正確性には定評がある。

 連合からの依頼を受けてデータスタジアムは野球やサッカー向けのシステムを土台に改良を繰り返し、最終的に競技ゲートボール専用のデータ記録システムを作り上げた。打数、ゲート通過の可否、ボール位置の変化、そして選手のフォームなどを記録・保管できるものだ。試合の流れがどう変遷したか一目瞭然になるよう、グラフ表示のデザインにもこだわった。