最初に導入したのが2014年、日本で開催された「第11回世界ゲートボール選手権」である。90チームによるリーグ戦と、勝ち上がった24チームによるトーナメント戦をすべて映像で収録し、そしてデータ化した。2015年10月に広島で開かれた、都道府県代表など全48チームによる日本の頂点を決める「第31回全日本ゲートボール選手権大会」でもシステムを稼働させている。

 映像を使ったデータ分析にはどれぐらいの手間がかかるのか。「1試合30分を分析するには約3時間かかる。その内容が正しいか検証するのにさらに1時間」(データスタジアムの池田氏)。全日本選手権の場合、8人のエキスパートを張り付かせてのべ650時間ほどかけた。

日本選手権の試合映像を無償公開

写真●無料で試合映像を見られるネットサービス「ゲートボールtv」も立ち上げた
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写真●無料で試合映像を見られるネットサービス「ゲートボールtv」も立ち上げた

 システムの完成によって、連合の関心はどうデータを生かすかに移っている。手間も時間もかかりノウハウも必要なデータ分析だが、裏を返せば競合の他国に簡単にまねされにくい。同レベルまで詳しく記録・分析している例はないといい、現時点ではアドバンテージがある。

 まずは日本流の新しい戦術の考案や未来の代表選手の抽出などに役立てようと、データ検証に余念がない。現時点で各チームなどにデータを公表する計画はないが、いずれはチームと二人三脚でデータを活用する環境作りもしていきたいとも話す。スポーツファンの中には戦術分析を趣味にする一定層がいることから、データ活用によって新しいファンを呼び込み熱狂させられるのではと期待を寄せる。

 データスタジアムと連合はシステム稼働をきっかけに、選手の意識改革を狙った新しい試みにも乗り出した。無料で誰でも試合映像を見られるネットサービス「ゲートボールtv」をこのほど開設。昨年の全日本選手権の全試合映像を公開したのだ。分析のために撮りためた映像素材をそのまま流用した。

 プロスポーツとしてメジャーではない競技ゲートボール選手たちにとって、これは画期的なことだった。「そもそもテレビ中継はない。試合会場に足を運んだとしても、全日本選手権では10以上点在するコートで同時並行に試合が進む。強豪チームの試合を目にするチャンスは少ない」(鈴木部長)からだ。