スポーツビッグデータの価値に関心を寄せるのはプロスポーツ関係者ばかりではない。グレースノートは、通信社やテレビ局など報道機関にデータを供給しており、ここ数年はスポーツ中継などに活用される場面が増えている。

 同社が買収したもう1社であるカナダのスポーツダイレクトが持つ、北米で人気の4大スポーツを中心に50リーグ以上の試合について集めたデータもフル活用する。プロ野球やアメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケーの試合経過を知りたいという声は強く、今後カーナビゲーションシステムに試合データを配信するなどのアイデアを自動車メーカーを中心に働きかけていくという。

米国で人気沸騰「ファンタジースポーツ」もデータが支える

 新しい需要としては「ファンタジースポーツ」がある。米国では最近、仮想的なチームを組織してネット上で対戦し合う新しいタイプの対戦ゲームが人気を急速に集めている。日本で以前人気を集めたサッカーチームを作るゲーム「サカつく」などに近いが、参加費を払って高額な賞金を奪い合う点で少々趣が異なる。

 試合の流れや勝敗を決める際に活用しているのが、実在の選手やチームに関するデータ。リアル世界の動向がそのままゲームの世界に生かされ、その生々しさがゲームファンの心をあおる。

写真●米国ではテレビでスポーツ観戦中に「セカンドスクリーン」であるタブレットにさまざまなデータを表示して楽しむ消費者が急増だ(提供:グレースノート日本法人)
写真●米国ではテレビでスポーツ観戦中に「セカンドスクリーン」であるタブレットにさまざまなデータを表示して楽しむ消費者が急増だ(提供:グレースノート日本法人)
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 ファンタジースポーツはギャンブル性が高く、ゲームと賭博の線引きのあいまいさを巡って訴訟が起こるなど課題がないわけではない。ただスポーツに関するビッグデータには、今までと違った興奮を消費者の間に喚起する力が秘められていると証明したことは事実だ。

 全世界のスポーツ市場が1300億ドルと膨らむのに合わせて、スポーツデータの市場も4億ドルへと成長した。今後さらに拡大していくのは間違いない。

 選手にとってはモチベーションが高まり、消費者にとっては観戦の魅力を高めてくれるデータ。日本でも、「宝の山」であるスポーツデータを使って、選手と消費者を緩やかに結びつける触媒のようなアイデアが出てくれば、今まで以上に多くの人にとってプロスポーツの世界は身近になるだろう。