ホテルや航空券などの価格は、一般に夏の行楽シーズンや年末年始の帰省シーズンに高騰するなど、需要と供給に合わせて変動する。こうした「ダイナミックプライシング(変動価格制)」は、米国のプロスポーツ界では既に一般化しているが、その波がようやく国内にも本格的に押し寄せてきた。
サッカーJリーグの1部(J1)に所属する横浜F・マリノスは、2018年7月28日の清水エスパルス戦を皮切りに、ホーム試合のスタジアムの一部観客席にダイナミックプライシングを導入した。
例えば8月1日のサンフレッチェ広島戦。試合を開催したニッパツ三ツ沢競技場のメインスタンド中央の「メインSSS」席は定価の5900円に対して、前日までに約17%、当日は29%も高くなった。一方でバックスタンド中央の「バックSBホーム」席は定価の4600円に対して、前日までに約4%、当日までに約11%値下がりした。
これまで試合のチケットは、シーズン前に定めた価格で固定されていた。しかし、スポーツではチケットの需要はさまざまな要因で変動する。ホテルや航空券のように繁忙期や閑散期をあらかじめ見込める訳ではなく、チームの順位や対戦相手、人気選手が出場するか否か、そして曜日や天気なども影響する。ダイナミックプライシングでは、日々の販売実績を勘案しながら試合日までの需要予測によって価格を変動させる。一般にスポーツ分野では、値付けを左右するパラメーターは少なくても10~20個はあるという。