導入で収益が10~30%アップしたチームも
8月1日の横浜F・マリノス対サンフレッチェ広島戦での価格戦略の裏側を明かすとこうなる。「この試合は平日開催であるため、チケットは売れ残ると予測していた。従ってアルゴリズムは、稼働率を上げて全体収益を最大化する計算をした。試合日直前では、メインSSS、メインSSの価格が上がって観客動員数が少なくなる一方、メインSA、バックSBホームの価格を下げることで、試合全体で稼働率を上げる推奨価格が算出された」(ダイナミックプラス)。
米国では、興行主の収益がダイナミックプライシングの導入によって10~30%向上したというデータがある。
こんな事例もある。米プロバスケットボールNBAのオーランド・マジックでは2015年、スター選手の移籍によって30~35%の収益減になることを、分析によって予想していた。しかし、ダイナミックプライシングの導入によって頻繁に価格を変えたところ、収益減を3%に抑えられたという。
ソフトバンクやオリックスも導入
三井物産はダイナミックプラスの設立に先立ち、2017年に福岡ソフトバンクホークスや東京ヤクルトスワローズの公式戦などで、一部の席種を対象にダイナミックプライシングの実証実験を行っている。
例えば、一塁側ベンチ裏のSS席に適用したホークスでは、稼働率の向上と売り上げ増の効果が実証されたという。「平日の試合でチケット価格を下げることで、周囲のエリアに比べて稼働率が高くなった」(平田氏)。
今年は横浜F・マリノスのほかに、ソフトバンクホークス、オリックス・バファローズなども一部の席種で同社のダイナミックプライシングを導入している。