盗塁阻止能力がデータでつまびらか

まず、「SABR Analytics Conference」はどんなイベントなのか、教えてください。

金沢 野球のアナリティクスに特化したカンファレンスで、MLBの球団を中心にデータを扱う企業の人たちなどが集まります。第1回は2012年で、今年は7回目の開催です。数百名が参加した模様です。

「SABR Analytics Conference」のホームページ
「SABR Analytics Conference」のホームページ
(図:SABR)
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今年注目のトピックは何でしたか。

金沢 いろいろありましたが、一つはメジャーリーグが運営しているサイト「Baseball Savant」で、STATCASTの新しい指標とデータの可視化ツールが提供されたことです。

データスタジアム ベースボール事業部 アナリストの金沢慧氏
データスタジアム ベースボール事業部 アナリストの金沢慧氏
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 新指標は「Pop time(ポップタイム)」と呼ばれる、キャッチャーが投球を捕ってから2塁もしくは3塁に送球して届くまでの時間。キャッチャーの盗塁阻止能力の指標となります。ポップタイムは、キャッチャーが捕球してからボールをリリースするまでの「Exchange」と送球速度「Arm Strength」の2つの要素によって決まってきます。

 ポップタイムのランキングでは、平均値、ランナーを刺したとき(CS)と刺せなかったとき(SB)の平均値も表示します。MLBによると、2塁までのメジャーリーガーの捕手全体の平均値は2.01秒です。

MLBにおける2018年の2塁ベースへの平均ポップタイムランキング(9月18日時点)。最低20回以上プレーした選手に絞った。1位はフィラデルフィア・フィリーズのホルヘ・アルファーロ選手で、平均ポップタイムは1.93秒。投球速度が90.8マイル/時と速いことがわかる
MLBにおける2018年の2塁ベースへの平均ポップタイムランキング(9月18日時点)。最低20回以上プレーした選手に絞った。1位はフィラデルフィア・フィリーズのホルヘ・アルファーロ選手で、平均ポップタイムは1.93秒。投球速度が90.8マイル/時と速いことがわかる
(図:baseballsavant.mlb.com)
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 2塁までの平均ポップタイムでトップ(9月18日時点)は、フィラデルフィア・フィリーズのホルヘ・アルファーロ選手とクリーブランド・インディアンスのヤン・ゴームズ選手の1.93秒ですが、球速はアルファーロ選手、Exchangeはゴームズ選手の方が速いことが分かります。

 一方、STATCASTの新しい可視化ツールは、投球軌道を3Dで再現するものです。打者の視点で「投手が投球した瞬間はストライクに見えるのに、実際はボール」という球はスイングすべきか判断しづらく、投球軌道の再現はアナリストなどから大きな注目を集めていました。