高過ぎる目標に向かって着実に歩みを進めるには、選手やチーム全体の状況を正しく把握し、的確に軌道修正していかなければならない。それにはよりどころとなるデータが必要で、かつ効果的に管理・共有することが求められた。

前例がない“ジャパン・ウエイ”への挑戦

画面●「1回の入力が30秒程度で済むこと」にとことんこだわり、簡単に入力が済むよう画面構成などを工夫した(出所:ユーフォリア)
画面●「1回の入力が30秒程度で済むこと」にとことんこだわり、簡単に入力が済むよう画面構成などを工夫した(出所:ユーフォリア)
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 ユーフォリアと代表チームの出会いは、偶然に近い。「システム会社を探していた代表チームの首脳陣の一人が、ユーフォリアのメンバーとの共通の知人に相談したことが縁だった」(橋口寛代表パートナー)。運命の糸に両者がたぐり寄せられたのは2012年夏のことだった。

 アクセンチュアなどでコンサルティング畑を歩んできた橋口氏と、ブリヂストンなどでマーケティング畑を歩んできたもう一人の代表パートナー宮田誠氏が互いのノウハウを持ち寄って生まれたのがユーフォリアだ。企業が抱える様々な経営課題を解決し、道具としてITも積極活用することを得意とする。

 「ラグビー強化のための専用システムは、世界を見回しても見当たらなかった。お手本がないなかで、白紙の状態から“ジャパン・ウエイ”(日本ラグビーならではの流儀)を作る課題に関われるのは滅多にないチャンス」(宮田パートナー)。そう考え、請け負うことを決めたという。宮田氏が長野県白馬村出身で、親戚に4人も冬季五輪に出場した選手がいるなど、スポーツへの関心が人一倍高かったことも背中を押した。

 何度もコーチングスタッフとの意見交換を繰り返しながら開発を進め、基本的なコンセプトを固めていった。具体的には、まず選手の体の状態(コンディション)を主観と客観の双方の視点に立ち、多種多様なデータとして集めて蓄積する。

 その上で、筋機能の能力(ストレングス)を高める各種トレーニングメニューの内容や進捗状況もデータとして細かく記録。コンディションを踏まえてストレングスを見直し、変化したコンディションに応じてまたストレングスを見直す――。両輪を回していくことで、確実に設定したゴールへと近づけていく。ラグビー強豪国では必須のトレーニング理論として知られる「ストレングス&コンディショニング」の発想に基づいたものだ。