こうして完成したシステムを、ユーフォリアは「ONE TAP RUGBY」と名付けた。ONE TAP(1回のタップ)とうたうように、スマートフォンで数回タップする程度の簡便な使い勝手にもこだわった。

コンディションを主観で確認、データとして入力

画面●ユーフォリアのホームページ。ラグビー日本代表チームの活躍を受けて、同社には問い合わせが頻繁に舞い込むようになったという(出所:ユーフォリア)
画面●ユーフォリアのホームページ。ラグビー日本代表チームの活躍を受けて、同社には問い合わせが頻繁に舞い込むようになったという(出所:ユーフォリア)
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 システム稼働後、代表チームは選手に対して朝起きた後など1日1回程度、コンディションに関して主観データを自分のスマートフォンやタブレット端末で入力することを義務づけた。「疲労度」「睡眠の質」「ストレスレベル」「筋肉痛」など、選手個人がその瞬間自分の状態をどう感じているか、各項目について数段階で直感で答えてもらう。時間に追われる強化の現場を考慮し、スライド式のバーを動かすだけの簡単なユーザーインタフェースを採用。「1回30秒程度で終わる」(橋口パートナー)。

 コンディションに関する客観データも、測定すれば適時入力していくことができる。「体重」「体温」「脈拍」「血液中の酸素飽和度」など、いわゆるバイタル(生命)データだ。こうして選手のコンディションに関する膨大なデータがクラウド上に蓄えられていく。

 コーチやトレーナーは従来、刻々と変わる選手の状態を経験や勘などを頼りにチェックしてきたが、ONE TAP RUGBY導入後はタブレット端末が相棒に。クラウド上のデータを分析したさまざまなレポートが閲覧でき、選手個人やチーム全体のコンディションの傾向や変遷を目に見える形で確かめられるようになった。

 ONE TAP RUGBYにおける“ジャパン・ウエイ”は主観データに重きを置いた点だろう。昨今、米国IT企業を中心に歩数などを計測・記録する個人向けのネットサービスが相次ぐが、いずれもセンサーがはき出す客観データを分析して健康に役立てようと考えている点で共通している。

 ただ「ぎりぎりの戦いを求められるプロスポーツの世界では客観データよりも、メンタルにも通じる主観データの質を高めることが強化時や試合中に大切になる」と宮田パートナーは明かす。