分かりやすいところでは筋肉痛がある。選手たちはきついトレーニングの後、何かしらの痛みを抱えている。それが限界を超えた痛みかどうかを適切に判断しなければ、強化中にケガを誘発してしまいかねない。もしかしたら自覚症状はないが、無理をしているかもしれない。気づかずに試合に出場させたら、期待した以上のパフォーマンスが出せず、勝てる試合をふいにしてしまう可能性だってある。客観データからは見えてこない情報だ。

選手の変調をメールで警告、ケガも未然に防ぐ

写真●開発を指揮したユーフォリアの橋口寛代表パートナー(左)と宮田誠代表パートナー(右)
写真●開発を指揮したユーフォリアの橋口寛代表パートナー(左)と宮田誠代表パートナー(右)
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 ONE TAP RUGBYでは「腰部」「臀部」「肩」「頸部」など筋肉痛の症状を細かく記録できる。そして、設定したしきい値を超えると警告メールをコーチに送る機能を用意した。おかげで朝起きたデータから異常が見つかった選手とすぐさま面談し、トレーニングを休ませたり試合のスターティングメンバーを変更したり手を打てるようになった。他にも疲労度や体重変動などでも警告でき、選手の変調を見逃さない工夫がある。

 もちろん主観的な数字なので、筋肉痛なら痛みを感じやすい選手とそうでない選手もいる。試合直前などに自分を鼓舞しようと、ストレスレベルをあえて低く答えるケースも考えられる。主観データならではの“振れ幅”が生じるのは避けられないが、記録し続けることで個人やチーム特有の傾向が見えてきて、振れ幅を差し引いた適切なアドバイスが可能になるのだという。

 「ゴールを決めて、そこへの着実なステップを設定し、ITなどの適切な道具を調達して挑み続ける。エディージャパンのやり方は、企業経営に通じるものがあった」。橋口パートナーは、チームが成長し続けていく様子を見てこう感じたという。

 実際、緻密なデータ管理は目に見える形で成果を生み、W杯前に今回の代表チームは「結構いいところまでいく」と内心感じたとも明かす。例えばベンチプレスの重量は目標には届かなかったものの、世界のトップレベルにあと一歩のところまで鍛え上げた。否が応でも期待が高まったのもうなづける。