大学駅伝のダークホースになれるか

 もっとも、GNSSによるリアルタイムトラッキングデータの取得は、2ヶ月ほどで準備したものであり、実戦的な場での活用はこの予選会がほぼ初めてだったという。それだけに、課題や今後の展望も見えたと、保科氏も中島氏も口をそろえる。

 「アプリの起動に時間が掛かってしまい、アプリをうまくスタートができなかった選手もいました。そうした点は今後改善していきたいと考えています」(保科氏)

 「今回、保科コーチの指示は各ポイントにいるスタッフを経由して選手たちに伝えられましたが、技術的には選手たちが装着するApple Watchに直接メッセージを飛ばすことも可能です。今後、ルールが変更され、そのようなことが可能になるのであれば、さらにタイムラグを減らすことができると思います。現状のルールでは大会で使用できませんが、トレーニングで用いることで、その効果がより高まる可能性があると思います」(中島氏)

 今回の予選会では慶應義塾大学は全体の26位でフィニッシュ。前年より順位を1つ上げたものの、箱根駅伝本選出場は叶わなかった。しかし他校に先駆けて「スポーツ×テクノロジー」の取り組みを本格化させた同校が、今後大学駅伝界のダークホースとなっても何ら不思議はないだろう。

 慶應義塾大学競走部 長距離ブロックでは、この他にも「目標設定・実施・自己評価のマネジメントプロセス導入」や「コンディショニング管理ツールの導入」といった取り組みを行い、チーム力の強化を行っている。その取り組みの様子を後編でレポートする。