例えば、同社は既に約311万回のサーブ、地球約1周分に当たる4万4500kmの走行距離などのデータを蓄積。リーダーボードではサーブやストロークのスピードランキングなどを表示している。

PlaySightのクラウドに蓄積されたデータ総量の一例(画像:PlaySight社)
PlaySightのクラウドに蓄積されたデータ総量の一例(画像:PlaySight社)
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 このランキングは性別、年齢、国ごとに見ることができる。2015年12月下旬時点でサーブのスピードランキングの総合1位は時速136マイル(時速218km)だが、55歳以上の女性の1位は時速89マイル(時速142km)など、属性別の表示が可能だ。テニスにおいてボールのスピードはプレーに必要な1要素に過ぎないが、プレーヤーは世界で、そして自国で自分がどのレベルにあるのかを知ることができる。

リーダーズボードの例。世界で計測されたサービスの最速スピードは、Marco Comuzzo氏の時速136マイル(画像:PlaySight社)
リーダーズボードの例。世界で計測されたサービスの最速スピードは、Marco Comuzzo氏の時速136マイル(画像:PlaySight社)
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テニスは技術の実験場

 競技人口が世界で1億人を超える“メジャースポーツ”の一角であるテニスにはここ数年、プレーを可視化(見える化)する技術の導入が相次いでいる。スポーツの中では市場規模が大きいうえ、ラケットを使い複雑な動きをするため科学的な分析がスキルアップに有効と考えられるためだ。

ソニーの「Smart Tennis Sensor」(右のラケットのグリップ部)。約8グラムのセンサーで、各種のデータをスマホなどへリアルタイムに転送し、ショット毎に確認できる(写真:ソニー)
ソニーの「Smart Tennis Sensor」(右のラケットのグリップ部)。約8グラムのセンサーで、各種のデータをスマホなどへリアルタイムに転送し、ショット毎に確認できる(写真:ソニー)
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 代表格が、加速度センサーや角速度センサーを内蔵したテニス専用センサーだ。ラケットのグリップ部に装着したり、それ自体を内蔵したりするラケットなどがある。例えば、ソニーが2014年5月に発売した「Smart Tennis Sensor」は前者のタイプで、現在ではヨネックス、Wilson、HEADなど主要ブランドのラケットに対応している。

 SmartCourtが非接触で映像からデータを取得するのに対し、Smart Tennis Sensorなどの専用センサーはボールがラケットに当たったときの振動などから、スイングの種別、ボールのスピードや回転、ラケットのスイング速度などのデータを算出する。

 いずれのタイプも目的はプレーの見える化にあるとはいえ、両者は異質の存在だ。プレーヤーの立場からは、映像解析技術は非接触なため「選手はストレスを感じず、ユーザーフレンドリー」(吉田氏)といえる。Smart Tennis Sensorは重さが約8gしかないとはいえ、それでも微妙な感覚を重視するプレーヤーにとっては心理的な負担になる可能性がある。一方で、専用センサーは個々のプレーヤーが購入して使える(Smart Tennis Sensorの価格は1万8000円)のが利点だ。SmartCourtはそれが設置されたコートに行かないと使えないし、現状では日本に1カ所しかない。