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 シュタットベルケがモデルなら、日本の地域新電力ももっと受け入れられてよさそうなものだ。どこに問題があるのだろうか。

 下のグラフは、地域新電力が取り組んでいる地域貢献をキーワードごとに集計したものだ。

PRと実績がかい離、スローガン倒れも
PRと実績がかい離、スローガン倒れも
地域新電力が掲げる地域貢献(出所:著者作成)
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 青の棒グラフは、地域新電力各社がホームページやプレスリリースでPRしている件数を示している。「地産地消」は地元のメガソーラーや小水力発電所などからの電力調達をうたっているケースで、「地域貢献原資」は売り上げの一部を地元のスポーツクラブや環境保全などに充てること。「エネルギーマネジメント」はCEMS(地域エネルギー管理システム)を使って地域全体の省エネ管理などを行う。「雇用創出」は電気事業を通して地域の雇用に貢献するとアピールしているケースだ。

 そして、赤い棒グラフはこれら地域貢献の実績を報告していた件数だ。実績報告はいずれもPRの件数を大きく下回っている。

 こうして見ると、スローガンの“有言不実行”という実態が浮かび上がってくるようである。そもそも、地域貢献を目指しているのかも怪しい。

 地域新電力と最も相性のいい地域貢献と思えるエネルギーの「地産地消」も、実は地域新電力の6割程度しか掲げていない。実績や実態を公表している事業者は、そのうちの半分に満たない。

 「地域貢献原資」「エネルギーマネジメント」「雇用創出」にあっては、標榜する事業者すら限られている。これでは、ただ地域名を社名に冠しただけの新電力で、地域を絞って活動する意味をほとんど見出せない。

成功は有言実行あるのみ

 ここで、うまく軌道に乗り始めている事例を見てみよう。

 大分県由布市に拠点を置く新電力おおいたは、「オール大分」を旗印に実にバランスの良い地域新電力経営を行っている。

 同社は地元の有力企業で、検査装置開発・販売のデンケンのほか、由布市、地元の大手LP(液化石油)ガス会社、銀行、フットボールクラブの大分トリニータなど多彩な顔ぶれから出資を受けている。

 そして、小売電気事業と並行して顧客の省エネ支援はもちろん、お年寄りの見守りや災害発生時のアナウンスなど、地域社会が抱える課題解決にまで踏み込み、すでに実績が出始めている。

 出資企業のデンケンではHEMS(家庭用エネルギー管理システム)の開発に取り組み、「地域に役立つHEMSの普及」を目指すなど、地場企業同士の連携による相乗効果も芽が出始めている。こうした活動が実を結び、近隣の自治体も電力購入先選定の入札参加を同社に要請することが増えている。

自治体や地元企業とのきずなが強み
自治体や地元企業とのきずなが強み
新電力おおいたのスキーム(出所:著者作成)
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