
2018年度も半分以上が過ぎた。個人的には、2016年度、2017年度よりも新電力事業の将来に関わる出来事が多かったように思える。
もっとも、どんな出来事も、新電力の規模、販売エリア、特徴や強み、弱みに応じてインパクトは事業者ごとに異なるだろう。
例えば、間接オークション制度の導入は、長年の懸念事項であった送電権(連系線の利用権)の先着優先主義を改める非常に大きな出来事だ。
しかし、地元で自ら興したバイオマス発電の電力を地元のためだけに使用する、いわゆる地産地消の場合、間接オークション制度は直接、経営に影響を与えるものではない。
では、日本卸電力取引所(JEPX)の入札可能単位の変更はどうか。
電力需給管理業務を他社に委託していた小規模な新電力にとっては、自社で需給管理業務を行い得る可能性が大きくなった。既に自社で需給管理業務を行っている新電力にとってもインバランス率の縮減が期待できる。このニュースは、新電力の電力需給管理状況に応じて意義が異なることになる。
そのほか、大手電力の動向、自社がベンチマークとする新電力、自社と本業を同じくする新電力の動向についても、情報の重要度は新電力の捉え方次第である。
関西電力による需要家奪還が激しさを増しているという情報は、東北の地域新電力にとっては一見、対岸の火事にように映る。しかし、関電管区での営業が困難になった大手新電力が東北電力管区に進出してきたとなれば、大きな脅威へと変わる。ニュースは表層を捉えるだけでなく、想定されるバタフライ効果も踏まえる必要があるという話だ。
レポートに満足している経営者は少ない
戦略策定に情報収集が必要なことは言うまでもないが、自社にとって有意な情報であるかどうかの価値の選別がさらに重要になる。
多くの新電力は日々の「電力需給管理レポート」のほか、月次で「電力小売事業レポート」(以下「事業レポート」)を作成していることだろう。
しかし、私が見聞きした範囲では、多くのレポートが淡々とした現状報告にとどまっているようだ。そうだとすれば、新電力の経営者にとってさほど有意な情報とは言いにくいのではなかろうか。
変化の激しい現在の新電力業界において、有意な事業レポートとはどのようなものだろうか。
上のグラフは、筆者がこの1年で新興の新電力を中心に接触した50社の経営者から聞き取り調査したもので、自社の事業レポートに対する満足感を聞いた結果だ。実に70%の新電力で、経営者の求めるレポートの水準に達していない。