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 現状のレポートに満足していない経営者にヒアリングしたところ、「レポートの内容」「体裁」「読みやすさ」に問題があるようだ。

「興味が持てない」「わからない」も少なくない
「興味が持てない」「わからない」も少なくない
経営者のレポートへの不満足の理由(出所:著者による聞き取り調査)
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 具体的には「KPI(主要業績評価指標)を設定していないため、どの数字を読んでいいのか分からない」や「なぜ市場高騰が発生して、どのように回避に努めたかを知りたいのに、市場高騰を騒ぎ立てるばかり」といった意見が印象的だった。

 中には、「読んでいて、儲けの“ニオイ”がしない」という意見もあった。経営者がレポートを読むのは、どうすれば利益を上げられるのかを掴みたいからだということは忘れたくない。

 経営陣の読む気を起こさせないレポート類型を下の表にまとめてみた。いずれも、一方的な情報の押し付けのように経営者が感じてしまうため、事業レポートというよりは業務報告の域を出ていない。

「言い捨て御免」や「半端な分析」は伝わらない
「言い捨て御免」や「半端な分析」は伝わらない
経営者が読む気のなくなるレポート類型(出所:著者作成)
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数字の裏側に新電力の経営課題

 新電力の経営者が事業レポートに求めるものは、経営者の「なに」に正しく回答し、「なぜ」に詳細な説明があり、「どのような」対応方法があるのかが一目で分かるものだ。

 「なに」とは、電気事業の基礎知識、もしくはKPIの定義である。

 通常、新電力の経営者と現場の間には、電気事業に関する知識量に大きな差がある。

 電力自由化は歴史が浅い。「インバランス」や「接続供給電力量」と言われても電力業界の知見が浅い経営者であればピンとくるはずもなく、まして「間接オークション」や「ベースロード市場」などに至っては初めて耳にするということもあるだろう。

 まず、この知識差を分かりやすい表現で埋める工夫をしなくてはならない。

 次に、「なぜ」だが、これはそのまま背景や理由のことである。

 現場が提出する事業レポートは、現状、および過去から現在までの推移を数字でまとめたものが多い。例えば、販売顧客数、販売電力量、電圧別の比率などだ。もちろん、これらの情報は重要であり、経営上必須の数字であることは間違いない。

 しかし、経営者は報告された数字に意味を見出し、成長もしくは改善を推進するのが役割だ。そのため、その数字がどのような過程を経た結果なのかを重要視する。

 例えば販売顧客数が「100件増えた」といっても、新規需要家を100件獲得して離脱需要家が0件である場合と、150件獲得して50件離脱したのとでは意味が全く異なる。

 前者であれば、なぜ離脱がないのか、自社独自の強みの故か、単に偶然かを見極めなければならない。後者の場合、獲得件数の3分の1に相当する需要家が離脱していることが大きな問題だ。