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 そして「どのような」とは、対応の要否および対応方法についてである。

 「大手電力が競合のA 社と提携した」とか「JEPXの価格が高騰気味で原価に大きな悪影響を与えている」などの情報は、平易に伝えるだけでは情報として不十分だ。そのニュースが自社にとってどのような影響があり、どのように対応しなくてはならないか、あるいは対応しなくて良いかを示さなくてはならない。

 先ほどの例で「大手電力がA社と提携した」というニュースに加え、「A社は自社と本業を同じくする、競合の筆頭格である」という情報を補足し、「この提携によってA社は大手電力から安価に電力を調達することが見込まれる」と推測を示し、「相手の価格競争力が強まれば、自社は需要家獲得競争で不利になる恐れがある」と結ばれれば、経営者は警戒すべきニュースとの認識を強めるだろう。

 そして、「本状況に自社として打つべき手立ては3つ考えられる。それは…」と続けられれば、経営者は満足するに違いない。単に「不利になる恐れがある」で終わってしまうと、経営者は不安な状況に置いて行かれたままになってしまう。ニュースはその背景、自社へのインパクト、対応の要否、対応方法がセットなのだ。

「なに」「なぜ」「どのような」をはっきり
「なに」「なぜ」「どのような」をはっきり
新電力の経営者が期待する事業レポート(出所:著者作成)
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時間的な枠組みを意識して整理する

 事業レポートでもう1つ重要なことは、「過去」「現在」「未来」の自社の姿を映し出しているかどうかだ。

 「過去情報」は、報告月の事業概況と経緯、燃料価格やJEPX価格などの推移といった周辺情報の整理である。経営者に、現在までの電力小売事業が計画通り遂行されているかどうかを伝える情報であるため、分析的であることが求められる。数字の羅列とならないよう、表やグラフを上手に用いて、傾向が正確に把握できるように努めなければならない。

「過去」「現在」「未来」の自社の姿を表現しよう
「過去」「現在」「未来」の自社の姿を表現しよう
レポート作成のポイント(出所:著者作成)
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 あわせて、燃料価格が上昇しているとすれば、なぜ上昇しているかを示さなくてはならない。また、KPIとして「需要平準率」「JEPX高額時間帯調達率」「再生可能エネルギー比率」などを定めている場合、このKPIの上下がどのような影響を及ぼすのかなどが、用語の説明とともになされていると親切な印象を与える。

グラフで「過去」の推移を明示する
グラフで「過去」の推移を明示する
過去情報の例 燃料調整単価と主要燃料価格の連動性
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