電源にも託送料を課金へ
系統連系に関しては、需給バランスの制約から、出力抑制(出力制御)の実施はすでに認識されている。九州地域では離島では一部で実施され、九州本土でも抑制されるのは現実の問題となっている。それより、むしろ問題はローカルな系統制約、つまり目の前の電線に繋げられるのか、という観点が重要である。
日本でも系統制約の問題については、「コネクト・アンド・マネージ」の導入により、空き容量が足りないときのみに、一時的に電源の抑制を実施するようになっていく。従って、今後、空き容量が足りない場合が頻発する可能性はある。その場合に、既存の太陽光発電の送電容量が保たれるのかどうか、既得権を認めるのかどうかは注目ポイントである。
連系問題ではなく託送料金の負担問題も新たなリスクである。FIT電源であっても、託送料金を負担すべきであるとの意見により、今後、託送料金が課される可能性がある。
現状では、小売電力事業者が託送料金を負担しているが、新しい制度では発電事業者にも、発電出力(kW)に応じて負担させることが検討されている。
また、近接性評価割引制度により、電源と電力需要地が近い場合に、託送料金の割引が適用されている。今後の制度改正では、もっと割引率がアップしたり、距離に応じた料金体系にしたりといった改正も期待できる。ただ、これは逆に、この制度を利用しない場合の託送料金が上がる可能性もある。
発電事業は20年以上の長期の事業である。したがって、当初想定していないリスクが発現することはあるだろう。気候変動の影響により、日本における自然災害リスクが高まっているため、保険料率が上がっていることも一例だ。
これはすでに明確になったリスクだが、それ以外でも、本稿で上げたようなリスクが現在、認識され始めている。こうした問題を先送りせずに、想定されているリスクへの対処を今実施し、将来の新たなリスクに備えるのが賢明であろう。