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 例えば、比較的うまくいっていると言われるAES社も単体での生き残りは難しいと判断し、シーメンスと蓄電池事業を統合した。両社のプレスリリースでは、2017年時点で、受注分を含めて48プロジェクト、合計容量は463 MWであり、13カ国に展開中とある。この規模であっても利益が十分に出せていない模様だ。

 今後は、大手同士のM&A(買収・合併)を通じて規模を追求することが必須になるだろう。

 大型太陽光と蓄電池の併設型は、まだ量的には少ない。併設が効力を発揮するのは、ハワイのような小さな電力市場である。

 ハワイの各島は小さいがゆえに調整力が乏しく、アンシラリーサービスがより重要だ。変動調整を行うと同時に、日没後の電力供給手段も必要となる。太陽が雲に隠れるたびに出力が変動するようでは困るし、日没と同時にディーゼル発電を動かすのではメリットが少ない。

 カウアイ島では、米ソーラーシティーとテスラが太陽光・蓄電池併設型を設置した。太陽光が13MW、蓄電池が20MW /80MWhで、14セント/kWhのPPA契約となった模様である。

 日本メーカーは、中規模のターンキーシステム、すなわちインバーター、蓄電池、変電施設、ソフトウエアを全て統合してすぐに使えるようなシステムを提供すれば、この分野で貢献できるだろう。インバーター単体や蓄電池単体では、日本企業は価値を生みにくい。

 蓄電池に併設する太陽光からの充電用電力は3~5セント/kWhと、極めて廉価なので、あえて充放電効率を犠牲にするEOS社のようなアプローチも極めて面白い。充放電効率は75%であるが、DC部分の導入コストがkWhあたり160ドル以下であり、蓄電池併設時の均等化発電単価(LCOE)増を1セント/kWhに抑えられるという。すなわち、充放電効率を犠牲にして太陽光+蓄電池併設の発電単価(LCOE)を下げるというビジネスモデルである。

 電力会社ではなく、一般の法人顧客向けの蓄電池サービスも、簡単に紹介しておく。この分野はステムや米AMS (Advanced Microgrid Solution)やグリーンチャージなど、比較的小規模な会社が主役である。ホテルや病院、商業ビル向けに、初期費用無しで蓄電池を設置し、リース料やプロフィットシェアリングで収入を得ようとする。

 これらの会社の成功を見て、類似したサービスモデルを標榜する企業が増えている。だが、このモデルは、資金調達力が必要で、常に自転車操業を強いられるかなり厳しいモデルであるとも言える。

 なお、カリフォルニア州では、SGIP(Self Generation Incentive Program)という補助金が2017年から再スタートすることになった。需要家側に設置する蓄電池に対して、合計で4億4800万ドルを補助するという、かなりの大盤振る舞いである。

 カリフォルニア州の高額なデマンドチャージとSGIPによって、需要家側での蓄電池設置は、投資回収期間が短くなった。カリフォルニア州での導入障壁は相当低くなるので、ビジネスチャンスといえる。

 しかも、カリフォルニア州政府は、需要家側に500MWの蓄電池を導入する目標を掲げ、電力会社に義務を貸した(州法AB2868)。

 筆者は法人顧客向けの蓄電池ビジネスは、いずれ前述した専業サービス会社ではなく、地場のインストーラーやEPC事業者が担うと見ている。これも、太陽光が辿ってきた道である。

日本メーカーはハワイで勉強しよう

 州政府によるルールや補助金、顧客ニーズは変化していくだろう。そして、価格だけではない世界でもある。ビジネスモデルの進化が極めて重要だが、日本メーカーの不得意とするところでもある。

 日本メーカーは残念ながら、米国の太陽光や蓄電池ビジネスでは周回遅れとなってしまった。筆者からの提案は、まずはハワイの小さな市場で蓄電池ビジネスの実績を積み、ノウハウを蓄積することだ。

 繰り返しになるが、米国では、蓄電池は太陽光の10年後ろを追いかけていると言われる。日本が今後、国内で太陽光を増やしていけば、ピークシフトや変動調整のために、太陽光導入ペースの5年後ろを蓄電池が走る状況もあり得る。ビジネスモデルを含めて米国で経験を積む意味は大きいと思う。

阪口 幸雄(さかぐち・ゆきお)
クリーンエネルギー研究所・代表
クリーンエネルギーや環境技術の専門家として、主に日本企業向けにリサーチやコンサルティングを手がける。シリコンバレーに拠点を構えて25年を超えた。アントレプレナーとしての経験も豊富。

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