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Case2:ばらつきを中途半端に理解している会社

 このケースの会社でも、設計や製造条件を決める一部の技術者や、品質を確保する役目を持つ一部の技術者はマージンを考え、技術的根拠を踏まえた適切な仕様を設定しているものだ。生産現場もマージンの存在について少しは知識があるものの、残念ながら不十分だ。そのため、「マージン①」~「マージン③」について理論的な根拠などを十分に理解してはいない。

 こうした会社では、次のような品質不正が行われることがある。工程内でギリギリ不良品が発生してしまったとする。知識がある技術者が技術的な根拠をもって判断すればよいのだが、生産現場では中途半端にマージンの知識があるので、ギリギリ不良品は「測定ばらつきによるものだ」と勝手に判断する。すると、「測定ばらつきだから、もう一度、測定して合格ならば出荷はOK」という生産現場独自の判断ルートが作成されてしまう。しかも、これはそのうち「何度測定を繰り返そうが、合格の結果が出るまで再測定はOK」というルールに置き換えられる。技術者や管理者が全く知らないうちに、生産現場では「不合格品は何度も再測定を行い、合格の結果が出れば出荷はOK」ということになってしまうのである。

 やがて、出荷のために「合格するためには何をしても構わない」と考えるように染まっていくのは、よくある話だ。これも、発端の多くは本当にギリギリレベルで、結果として測定ばらつきの範疇に収まっていたものだ。それが、やがて当初の条件を逸脱しても、とにかく合格品を確保して出荷に間に合わせるための行為だけが継続・拡大して品質不正が常態化していく。この問題を回避するには、やはり、工程の管理者や技術者もマージンの概念をきちんと理解しなければならない。