「歩み板」を考案してアレイ上から検査
ここで問題となったのが、美作サイトでの「パネルチェッカー」による検査だった。久米南サイトと美作サイトでは、後から設計した美作の方が、施工効率を高めるため大きなアレイ(パネルの設置単位)を採用した。久米南サイトでは縦4段なのに対し、美作では縦6段まで並べた。ここまで大きいと、アレイ中央のパネルにはセンサーが届かない。センサーを付ける棒をさらに長くすると、作業性や精度が落ちてしまう。
そこで、旭電業では、パネルのフレームからフレームに橋のように渡す細長い板を考案した。それを足場にして検査員がアレイの上側に上がり、バスバーにセンサーを当てるようにした。こうすることで、太陽光パネルのガラス面を直接、踏まずに正確に検査ができる。同社では、これを「歩み板」と名付け、美作サイトでのパネル検査に常備している(図3)(図4)。
久米南と美作サイトでは、こうした検査によって、1年間で数十枚のクラスター断線となったパネルを見つけたという。数十枚というと多いようにも感じるが、両サイトのパネル設置枚数は10万枚を超えるため、不良率は0.1%に満たないことになる。