無線によるストリング監視

 協和エクシオでは、基本的に出力2MW以上の案件では、ストリングごとの遠隔監視を導入している。今回の松江市のメガソーラーでも、すべてのストリングで電圧と電流を監視している。

 ストリング監視を導入する理由には、EPCサービス事業者として必要なデータを収集できる効果も大きいとしている。

 特徴は、データの送信に無線通信を使っていることである。一般的なストリング監視では、接続箱の入力端子などにセンサーを装着してデータを収集する。データの送信用に別に専用の通信線を敷設する。計測と送信に必要な電力も、別に専用の送電ケーブルを敷いて確保する。電力はキュービクル(昇圧変圧器)などから供給するため、売電ロスにもつながる。

 これに対し、同社が採用している方法は、無線でデータを送信するので、通信線が不要となる。

 また、センサーは、接続箱の入力端子ではなく、太陽光パネル間を接続する送電ケーブルにつなぐため(図10)、発電した電力を使える利点がある。パネル間の接続ケーブルを結ぶコネクターを介してセンサーを付けている。ストリング内の1カ所で、コネクター同士を結ばず、センサーにつながるコネクターに接続する。パネルA-パネルBとなる代わりに、パネルA-センサー-パネルBというように接続する。

図10●パネルのコネクターを介してセンサーを設置
図10●パネルのコネクターを介してセンサーを設置
接続箱の入力端子ではなく、太陽光パネル間を接続する送電ケーブルにつなぐ(出所:日経BP)
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 これによって、専用の送電ケーブルを敷設する必要がない上、PCSに入力前の電力を使うことから、発電量が連系出力を上回っている時間帯には、売電できない電力を有効に活用できるなど、PCSから出力後の電力をフルに売電できる利点もあるとみられる。

 同社によると、無線通信によるストリング監視の利点は、大きく三つある。一つ目は、接続箱にセンサーを組み込む方式の課題である、寿命の低下を防げること。接続箱内は、夏季には70℃に達する場合があるなど、高温となる。そこにセンサーなどを実装した基板を設置すると、高温によって寿命の低下する恐れがある。無線による方式の場合、屋外にセンサー端末を設置でき、この懸念が解消される。

 二つ目は、万が一、故障した場合でも、容易に交換できること。三つ目は、稼働後の太陽光発電所でも、簡単に後付けできることである。

 ストリング監視は、費用対効果が合わなければ導入しにくい。同社の試算によると、メガソーラー内の1枚の太陽光パネルに不具合が生じ、このパネルをバイパスして送電が続いた場合、年間で約1万7000円、20年間で約34万円もの売電ロスが生じるという。

 同社が導入しているストリング監視システムのコスト(導入費や運用費)は非公開としながら、出力2MWの発電所で、10枚程度のパネルの不具合を発見できれば、費用対効果が合うという。実際に、運用後2年間ですでに5枚の不具合を発見した案件があるなどの実績があり、20年間の事業期間では十分な費用対効果が期待できるとしている。

 発見したパネルの不具合は、はんだやセルの不良による温度上昇、内部結露による不具合や、石が当たったことによる破損だった。色の違いで異常がわかるように表示されるので、一目でわかったという。落石はカラスによるものではないかという。

 無線通信を活用する上で、干渉などによるトラブルは生じないのだろうか。同社によると、「無線通信設備を業務とし、悪影響についても知見を持っており、問題は少ないと判断している」と強調している。

 ただし、PCSの高周波による悪影響が及ぶことはあり、「通信関連の会社ならではの対処法を施している」という。

●発電所の概要
発電所名エクシオ松江ソーラーファーム
所在地島根県松江市朝酌町1194番 ほか
設置面積 2万5281m2
太陽光パネル出力2.327076MW
パワーコンディショナー(PCS)出力1.990MW
年間予想発電量約254万kWh
発電事業者協和エクシオ
設計協和エクシオ
施工佐藤組(島根県松江市)
太陽光パネルシャープ製(単結晶シリコン型、出力265W/枚・8784枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(1000V入力対応、出力665kW機・2台、同660kW機・1台)
工事期間2015年5月1日~ 11月30日
売電開始2015年11月2日
買取価格36円/kWh(税抜き)