湖南市の発電所では、敷地内は浸水したものの、発電設備は浸水によって損壊することはなかった。この理由は、発電所の設計によるところが大きい。
湖南市のメガソーラーで、地上から最も低い高さに設置されているのは、パワーコンディショナー(PCS)や昇圧変圧器(キュービクル)である。砕石の上に、高さ約30cmのコンクリート基礎を築き、その上に固定している(図3)。
この場所でも、基礎はギリギリ近くまで浸水したものの、基礎の上まで水が達することはなく、PCSや昇圧変圧器は無事だった。
太陽光パネルや接続箱は、アスファルト舗装した地面の上に、高さ50cmのコンクリート基礎を築き、その上に固定している(図4)。ここも基礎のかなりの高さまで浸水したものの、コンクリート基礎の上まで水が浸ることはなく、太陽光パネル、接続箱ともに浸水や水没を免れた。
湖南市のメガソーラーでは、太陽光パネルから接続箱、PCSをつなぐケーブルの敷設に際し、ラックを使い高い位置に固定していた。今回の水害では、この設計が功を奏した。
国内の多くのメガソーラーでは、地中や地面にケーブルを敷設している。一方、昭建の湖南市の発電所では、ケーブルも高さ50cmのコンクリート基礎の上を通るように敷設している(図5)。
接続箱までは太陽光パネルの裏面を通し、接続箱からPCSまでは、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)をまたぐ際、コンクリート基礎にケーブル収納用のラックを固定し、50cm以上の高さでケーブルを通している。
この設計によって、ケーブルについても浸水を免れた。
昭建によると、「周辺地域の浸水状況から考えると、発電設備が水没も浸水もせずに無事に済むとは考えられなかった」とし、まさに「設計に救われた」と振り返る。
同社ではこのとき、万が一、発電設備が浸水・水没することによって電気的な事故に至ることを恐れ、関西電力からの要請はなかったものの、連系用の断路器を遮断し、送電を止めたという。
半日ほど経って、湖南市のメガソーラーの敷地内からは水が引いていった。発電設備を点検すると異常はなく、どの設備も無事に稼働していた。絶縁抵抗などに異常がないことを改めて確認し、関電の高圧配電線への連系を再開した。