日本で1GWの再エネ開発を目指す
上海電力は、中国国内で、石炭や天然ガス火力を運営しているほか、国内外で再生可能エネルギーの開発に乗り出している。日本では、将来的に1GW分の再生可能エネルギー発電事業を手掛ける目標を掲げている。
稼働した3サイトのほか、栃木県那須烏山市や福島県西郷村でメガソーラー計画が進んでいるほか、風力やバイオマス発電の開発も検討しているという。
上海電力日本のチョウ・アサヒ(旭)社長は、「日本は東日本大震災による原発事故で、再生可能エネルギーが非常に重要になっており、今後も伸びていく。日本での再エネ事業に投資することで、こうした日本のエネルギー政策に貢献するとともに、再エネ事業の拡大を目指す上海電力にとっても大きなチャンス」と言う。
一方、中国系企業が日本の山林・原野などの土地を購入することに関しては、「日本の水資源を狙っているのでは」など、さまざまな憶測や風評があるのも事実だ。上海電力日本はこうした「憶測」を否定しつつ、さまざまな風評にも配慮し、メガソーラー建設に際しては、地域社会への配慮を非常に重視しているという。
「SJソーラー三田発電所」は、元々、建設残土などを受け入れた埋め立て地で、地盤が不安定なうえ、周辺に民家も近いこともあり、大雨の際の治水対策が課題になった。そこで、「三田市に相談して、沈砂池と排水施設を新設したり、住民説明会を開催したりするなど、地域社会の要望を取り入れることに努めた」と、同社・生産管理部の塚本健副部長は言う。
敷地内に降った雨水は、植栽土嚢によって表面流水を緩和し、U字側溝を流れて、3つの沈砂池に貯める。そこで、砂や土を沈殿分離してから、近くの潅漑用の池に流れるようにしている。地域住民にとっては、遊休地がメガソーラーになることで治水施設が新設され、安心感が高まった(図2)(図3)。
加えて、住民説明会などで太陽光パネルからの反射光に対する懸念の声があったこともあり、民家の近いフェンス沿いに植樹をした(図4)。