「発電所を売却することはない」

 ソーラーシェリングは、50kW前後の低圧連系する案件で導入する動きが出てきたが、発電事業のIRR(内部収益率)が重視される大型案件では、採用例が少ない。パネルの面積当たりの設置効率が下がり、基礎・架台の設置コストやO&Mに手間がかかるためだ。

 上海電力日本の塚本副部長は、「中国では、すでに太陽光パネルの下で、農業や養殖を行う大規模なソーラーシェアリングが始まっているので、それほど違和感はない。何よりも、発電事業と地域の活性化が両立できることが利点」と言う。

 「SJソーラーつくば発電所」のO&Mはアドラーソーラーワークス(横浜市)が契約している。同社で「つくば発電所」を担当している飯島久さんは、水守地区の出身だ。「若者の農業離れが進んで営農が難しくなっているなか、太陽光からの賃料で安定収入が得られるソーラーシェアリングに踏み切ったことは、地域にとってよかった」と話す。

 外資系の太陽光開発事業者は、稼働した発電所を売却するケースが多いが、「上海電力は電力会社。日本での投資も発電事業自体が目的なので発電所を売ることはない。20年かそれ以上、発電事業を続けるには、地域との共生が不可欠。高い収益率を追うことより、地域に受け入れられ、永続的に発電事業を行うことを優先したい」(塚本副部長)

●設備の概要
発電所名SJソーラー三田発電所
住所兵庫県三田市沢谷字南山559番112他
発電事業者上海電力日本(Shanghai Electric Power Japan)
土地所有者上海電力日本(Shanghai Electric Power Japan)
設置面積10.3ha
出力太陽光パネル設置容量5.049MW、連系出力4.75MW
年間予想発電量約580万kWh
EPC(設計・調達・施工)サービス伸和工業
O&M(運用・保守)伸和工業
太陽光パネルShanghai Aerospace Automobile Electromechanical(HT-SAAE:上海航天汽車機電)製(単結晶・270W/枚)・1万8700枚
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)、500kW機・2台、750kW機・5台
特高受変電整備四変テック(22kV・1回線受電)
基礎・架台日創プロニティ(杭基礎)
着工月2014年7月
売電開始月2016年2月
売電単価40円/kWh