12人で「300日・人」の検査作業を担当
「オリックス51M津メガソーラー発電所」の設備は、太陽光パネル出力が51.030MW、パワーコンディショナー(PCS)出力・連系出力が42MWとなっている。PCSの隣に中間用の昇圧変圧器を置き、ここでPCSの交流出力210Vから、22kVに昇圧して敷地内も特別高圧で送電している。連系点の手前で、連系用の昇圧変圧器で22kVから77kVに昇圧し、中部電力の特別高圧送電線に送電している。
設計・施工やO&M(運用・保守)は、中部電力グループのトーエネックが担当している。使用前自主検査は、トーエネックの指揮のもと、中部電気保安協会が多くの作業を担当した。
検査項目によっては、トーエネック自身や発電設備メーカーが作業を担当したものもある。また、導入した設備の特性や運営体制の理由により、検査が不要となった項目もある。これらの検査項目については発注外となり、中部電気保安協会は作業を担当していない。
稼働後の定期点検についても、同じようにトーエネックの下、中部電気保安協会が作業の一部を担うことが決まっている。
今回の検査において、中部電気保安協会は、トーエネックの計画した工程に合わせ、担当者を派遣した。作業に従事した期間は、2015年4~10月である。2016年5月の売電開始に対して、1年以上前から作業を始めた。
施工は、出力2MWの区画ごとに完成していった(図2)。区画内では、基礎や架台の打設や組み立て、パネルや接続箱、PCSと中間用の昇圧変圧器を設置し、送電ケーブルを接続していった。
この区画が21カ所ある。本格的に作業を開始したのは、最初の区画が完成した2015年6月以降である。
それ以前の2015年4月に、中部電気保安協会による作業が始まっているのは、設計通りの接地抵抗を確保できる場所なのか、確認するためだった。地中の状況によっては、必要な接地抵抗を確保できない場合もあり、施工前に確認したかったという。
中部電気保安協会の担当した項目は、発電所全体を網羅する「外観検査」のほかは、大まかに、「太陽光パネル・接続箱関連」と、「PCS・中間昇圧変圧器関連」に分かれる。前者は区画ごとに、後者は発電所全体が完成してから検査する項目が多い。
こうした検査の作業工数として、中部電気保安協会の担当分は概算で300人・日となった。作業には12人を充てた。作業や安全管理の責任者のほか、8人を充てた。担当者は、作業の内容や時期などによって入れ替えたりせず、固定した。
作業担当の8人のうち4人は、最寄りの拠点となる松阪営業所などの若手の職員を充て、技術の継承や経験の蓄積の機会ともした。
21区画の太陽光パネル・接続箱に関連する検査は、6人で作業し、1区画当たり1.5日を要した。21区画の合計で31.5日となり、合計の工数は189人・日となる。
一方、PCS・中間昇圧変圧器関連の検査も、21カ所分となる。こちらは、10人で作業し、1日2カ所を検査した。21カ所の合計で11日となり、合計の工数は110人・日となる。