雷雨やシカ、マムシ対策も

 検査は長期にわたったことから、安全管理などにも留意した。夏季の高温・高湿時の体力的な負荷や、天候の急変への対策などである。

 例えば、夏季の高温・高湿時の対策として、検査している区画内にテントを設置して仮設休憩所を設けた上、扇風機や椅子を備えて、こまめに休むことにした。冷却材や首巻用タオル、ファン付きの「空調服」も活用した(図5)。

図5●高温時は、ファン付きの「空調服」で対策
図5●高温時は、ファン付きの「空調服」で対策
接地抵抗検査時の例(出所:中部電気保安協会)
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 夏季には、急な突風や雷、豪雨も少なくない。もし、検査の作業中にこうした状況が生じた場合、PCSの屋外設置用の筺体に一時的に避難することを徹底した。

 津のメガソーラーでは、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のPCSを採用しており、同社の推奨により、屋外設置用の筺体に収められている(図6)。

図6●豪雨や雷、突風時にはPCSの屋外用筺体に避難
図6●豪雨や雷、突風時にはPCSの屋外用筺体に避難
天候の急変への対策(出所:中部電気保安協会)
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 自然に恵まれた環境にあるゴルフ場跡地ならではの対策も用意した。動物との遭遇である。

 マムシ対策として、編み上げ靴の着用を欠かさないようにした。足を噛まれることを防ぐ。

 シカに遭遇し、突進してきた場合には、太陽光パネルの下に避難することを徹底した。背の低いパネルの下に潜れば、負傷などの可能性を低減できる。

 実際に、検査の作業中、シカに遭遇することがあったという。

 クマやスズメバチに対する対策も立てた。慌てずに、その場を離れるというものだった。

●発電所の概要
発電所名オリックス51M津メガソーラー発電所
所在地三重県津市白山町三ヶ野3209ほか
敷地面積約113万5001m2(東京ドーム約25個分)
発電事業者ORソーラー・エイト合同会社(オリックスによる特定目的会社)
太陽光パネル出力51.030MW
連系出力42MW
初年度年間発電量5781万5692kWh(一般家庭約1万6060世帯の消費電力に相当)
設計・施工トーエネック
太陽光パネル東芝製(20万4120枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
O&M(運用・保守)トーエネック
運転開始日2016年5月10日
売電価格36円/kWh(税抜き)
売電先中部電力