理科大の跡地にメガソーラー
JR東北線・東武伊勢崎線の久喜駅から県道151号線を北西に約2.5km。県道を左に折れると、「理科大通り」と呼ばれる道がある。だが、いまそこに東京理科大学はない。
埼玉県久喜市に東京理科大学・経営学部の久喜キャンパスが開校したのは1993年4月。同市は、当時、周辺道路を整備するなど、大学の誘致に取り組み実現した。しかし、その後、18歳人口が減少するなか、思うように学生が集まらず、2016年3月末、同大経営学部は、東京都新宿区の神楽坂に移転し、久喜キャンパスは閉鎖された。
大学撤退から2年半後の2018年9月30日、キャンパス跡地に地上4階建て、延べ床面積15万1501m2もの巨大な建物が竣工。翌日の10月1日には、同じ敷地内に、久喜市内で最大級となる2.39MWものメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働を始めた。
といっても、地上からは、太陽光パネルは1枚も見えない。
竣工した建物は、物流施設の「ESR久喜ディストリビューションセンター(DC)」で、メガソーラーは、その屋根上に設置されている(図1)。
この物流施設の開発・所有・運営を手掛けるのはESR(イーエスアール)(東京都港区)。同社グループは、中国・韓国などで物流施設を開発してきたイーシャンと、アジア・日本などで物流施設を展開するレッドウッド・グループが2016年に経営統合し、米投資会社のウォーバーグ・ピンカスの参画により発足した。グループ本社は香港で、アジア大都市圏の物流不動産に特化した開発・所有・運営を行っている。
中国、韓国、日本、シンガポール、インド、オーストラリアの6カ国で、約150棟、延べ床面積の合計で1100万m2以上の物流施設を建設・運営している。
日本では、久喜市のほか首都圏に9施設、名古屋圏で2施設、大阪圏で3施設が竣工しているほか、複数サイトで建設を進めている。