地中に放射状の「ラジアルアース」

 ニッポン放送の田中成明総務局長は、「送信所内にメガソーラーを設置したのは、FITが始まったからではなく、敷地内の遊休地を有効活用するため。長年の課題だった」と打ち明ける。

 放送用アンテナというと、高い山の頂上や市街地のタワーに取り付けるイメージがあるが、それは、テレビやFM(超短波)ラジオの施設。AMラジオの場合は、中波帯の電波の性質上、平地に高い鉄塔を立て、地中に「ラジアルアース(地線接地)」と呼ばれるアース(接地)を放射状に埋め込んでいる。

 「アース」とは言うものの、これは電気を逃がす安全対策というより、送信アンテナの一部分として、電波の放射効率を高める重要な機能を担っている。

 地中のラジアルアースは、1本の長さが送信アンテナ程度にもなるため、AMラジオの送信所では、鉄塔周囲の地上部分が広大な空き地になる。そこで、AMラジオの放送会社は、歴史的にその有効利用に取り組んできた。「市街地に近ければ、駐車場や野球場などに貸すこともできるが、木更津送信所では、立地上、そうしたニーズがなく、早くから太陽光発電設備の設置を検討してきた」(田中総務局長)という。

 とはいえ、実際にはなかなか建設に踏み切れなかった。ラジアルアースの上に太陽光パネルを敷き詰めた場合、本業である電波の送信に影響が出ないのか、逆に電波による強電界が太陽光発電に影響を与えないか、という両面で不安があったからだ(図2)。

図2●電波の送信に影響しないかが大きな課題だった
図2●電波の送信に影響しないかが大きな課題だった
(出所:ニッポン放送)
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