史跡への配慮などで設置面積が減り、パネルを変更

 石塁や古墳、その他の文化財や史跡などが残る土地のため、施工や発電設備の配置などを配慮する必要があった(図7)。五島市の教育委員会の許可を得ながら進めていった。

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図7●石塁や古墳などの史跡に配慮
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図7●石塁や古墳などの史跡に配慮
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図7●石塁や古墳などの史跡に配慮
石塁、古墳などが見える。文化財が埋まっている可能性のある場所では、置き基礎を使った(右下)(出所:日経BP)

 石塁が残っている場所は、手をつけずにそのままの姿で残した。その周辺にある、古墳などの場所も、そのまま残した。地中に文化財や史跡が埋まっている可能性がある場所については、太陽光パネルを設置した場所もある。そこでは、地面を掘らずに保護する観点から、コンクリートの置き基礎を採用した。それ以外の場所では、杭基礎を採用した。

 丘のような形状の頂上付近には、荒神(こうじん)を祀った祠(ほこら)などもある。これらもそのまま残した(図8)。

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図8●丘の頂上付近も祠などとともに残した
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図8●丘の頂上付近も祠などとともに残した
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図8●丘の頂上付近も祠などとともに残した
荒神(上)のある丘の頂上付近を残した(中)。中腹には牛神の石像も(下)(出所:日経BP)

 こうした史跡や文化財については、石塁や古墳などは教育委員会が調査する場合があり、荒神の祠などは地域住民が訪れたりする。このため、通路の配置やフェンスの敷設などを工夫して、発電設備を設置した区域には立ち入れないようにしながら、これら文化財のある区域には、敷地外からそのまま通行できるようにした(図9)。

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図9●市道のほか、調査や参拝のための通路を設けた
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図9●市道のほか、調査や参拝のための通路を設けた
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図9●市道のほか、調査や参拝のための通路を設けた
市道は以前から敷地内を通っていた(出所:日経BP)

 もう一方で、林地開発許可を長崎県から得て開発した。市街地が近い山林ということもあって、行政側の対応が慎重で、それに応じた計画とする必要があった。

 計画を進めている間に、五島列島のキリスト教関連施設を世界遺産に登録することを目指す動きも出てきた。この関連で、五島市が景観条例を定め、この条例に合わせた計画とする必要が出てきた。

 また、土地の造成の規模が、当初想定していたよりも大がかりになることもわかってきた。斜面を削った土は、敷地外に持ち出さずに敷地内で使い切る計画で、造成や排水の計画を修正する必要が出てきた。

 こうした状況が重なり、最終的に、太陽光パネルの品番を当初の計画から変更する必要に迫られた。全体では約10haという広い土地でありながら、太陽光パネルを並べられる面積が当初の計画より少なくなり、そのままでは計画通りの太陽光パネル出力を実現できないためだった(図10)。

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図10●太陽光パネルを設置できる面積が当初の計画より小さく
図10●太陽光パネルを設置できる面積が当初の計画より小さく
米サンパワー製の高効率パネルに変え、設置面積が減ってもパネル出力が減らないようにした(出所:上は多摩川ホールディングス、下は日経BP)
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 変換効率がより高く、1枚あたりの出力がより大きい、米サンパワー製の高出力タイプのパネルに変えた。これによって、設置面積を減らしながら、当初の予定に近い太陽光パネル容量を確保できるようにした。出力327W/枚品を1万6352枚並べた。

 太陽光パネル容量を500kW追加することを経済産業省に申請済みで、今後、設置作業に入る。この増設後のパネル容量は、約5.8MWとなる。

 多摩川ホールディングスでは、千葉県館山市にある出力約2MWのメガソーラーで、サンパワー製の太陽光パネルを採用しており(関連ニュース)、その発電効率や実際の発電量の多さの利点を確かめており、今回も採用した。