福島県西白河郡泉崎村にあるゴルフ場跡で、合計出力10MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「森トラスト・エネルギーパーク泉崎」が、5月に全面稼働した(図1)。
同メガソーラーは、発電所名にある通り、森トラスト(東京都港区)が開発・運営している。
事業用地は、森トラストが運営していた「ラフォーレ白河ゴルフコース」の跡地である。東北自動車道の矢吹ICから約6.1km、JR東北本線の泉崎駅から約6.7kmに位置する。
18ホールのゴルフコースからなるゴルフ場を運営してきたが、東日本大震災の影響で営業を休止した。コース内に土砂崩れや地割れなどが生じたことから、修復して営業を再開するのか、営業を休止するのかを検討し、最終的に営業休止を決めた。
その跡地を活用した。太陽光発電は、こうした被災地でも取り組みやすい事業だった。フェアウェイやグリーン、駐車場だった場所などに太陽光パネルを並べた。ゴルフ場時代に取得した林地開発許可の内容を生かす形で発電設備を配置した。
出力約2MWの高圧配電線に連系する第1期と、同8MWの特別高圧送電線に連系する第2期の発電所で構成されている。出力約2MWの第1期は、2ホール分を使って約1万枚の太陽光パネルを並べ、2013年8月に稼働していた(当時のメガソーラー探訪)。
固定価格買取制度(FIT)に基づく第1期の売電単価(税抜き)は40円/kWh、第2期は36円/kWhとなっている。年間発電量は合計で約1080万kWhを見込む。一般家庭約3200世帯の消費電力に相当する。
第1期の出力約2MWの連系では、ゴルフ場時代に使っていた高圧配電線をほぼそのまま活用できた。そこで、発電設備を設置しやすく、かつ、高圧配電線に近い場所にある、6番〜7番ホールの2ホール分を使い、いち早く建設した。
これに対して、第2期の出力8MWの連系には、東北電力による特別高圧送電線の整備を待つ必要があった。
ラフォーレ白河は山間部にあるゴルフ場で、近くに特別高圧送電線は通っていない。このため、東北電力は約4km離れた場所まで、15本の鉄塔を新設し、送電線を引き込んだ(図2)。この工事の予定に合わせて、太陽光発電設備を設置した。
第2期では、残りの16ホール分のうち、傾斜が大きかったり、影のかかる時間が長いなど、太陽光パネルの設置に向かない3ホール分の一部の場所を除いて活用し、約3.2万枚のパネルを並べた。
第1期と第2期とも、EPC(設計・調達・施工)サービスは、きんでんが担当した。太陽光パネルは、いずれも国内メーカー製と海外メーカー製を併用した。この併用は、都市ビル事業における太陽光発電の活用を見据えた検討のためとしている。
一方、パワーコンディショナー(PCS)は、国内最大手の東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製に統一した。