連系先が原因の停止が頻発、位相の設定変更へ
PCSは、第1期、第2期とも、定格出力500kW・直流入力電圧1000V対応機を採用した。
直流入力電圧の高電圧化によって、太陽光パネルの直列接続枚数を増やせる。これによって、接続箱の設置台数を減らせる上、PCSまでの電線の総延長の短縮によって、初期投資額を低減できる。また、高圧化により、パネルからPCSへの入力時までの送電ロスを低減できる利点もある。
その結果、出力当たりの建設コストを削減しつつ、システム効率が上がるため、投資収益性が向上する。
PCSでは、第1期の稼働後、発電設備に起因しない稼働停止が多く起きたという。
まず、落雷による停止だった。ほとんどは近隣に落雷し、PCSの安全機能が働く「誘導雷」によるものだった。ただし、一度だけ、メガソーラーの発電設備への「直撃雷」によって、PCSの安全機能が働いて稼働を停止したことがあった。
また、連系先の東北電力の高圧配電線のトラブルによって、安全機能が働いて稼働を停止することも頻発した。
具体的には、連系先の高圧配電線において、送電電流の一定幅以上の「位相ズレ」が頻繁に起きていたことが原因という。
送電線における事故を防ぐ目的で、メガソーラーのPCSは、パネルからの直流を交流に変換する際、連系先の送配電線における電流の位相に同期させて送電することが求められている。
しかし、連系先の送電線の電流の位相自体が、電力会社から指定されていた範囲を超えてズレることが頻発していた。この理由で、メガソーラーからの送電電流が指定の範囲の位相に収まっていても、送電線側の電流の位相と同期できなくなり、PCSの稼働が停止していた(図9)。
東北電力と協議した結果、メガソーラーからの送電電流が同期させる位相の幅を、連系先の高圧配電線で頻発している「位相ズレ」の実態を反映した幅に変えることが認められた。この変更以降、この理由による稼働停止は、だいぶ減ってきたという。