クローバーが順調に根付く

 出力8MWの第2期の稼働によって、O&M(運用・保守)の手法も変えた。

 ゴルフ場時代の維持管理会社を活用し、常駐のO&M担当者が毎日、敷地内を巡回しながら、除草をはじめ、排水路の詰まりの予防などを担う体制に変えた。

 元々、ゴルフ場では不可欠な作業のため、ゴルフ場時代からのノウハウや体制がそのまま生かせるという。

 現地の取材時にも、常駐している2人の担当者が、手押型の草刈機を使いながら、除草している様子が見えた(図10)。

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図10●斜面の雑草を刈っていた
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図10●斜面の雑草を刈っていた
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図10●斜面の雑草を刈っていた
ゴルフ場時代の維持管理会社を活用し、常駐のO&M担当者が毎日、敷地内を巡回している。雑草は、まるでゴルフ場時代のままのように刈り込まれている(下)(出所:日経BP)

 日々作業しているというだけあって、まるでゴルフ場時代のままのように、雑草が芝のように刈り込まれている。

 新たに稼働した第2期の一部では、雑草の抑制対策としてクローバーを植えている場所もある(図11)。

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図11●斜面の起伏などにかかわらず、全面にクローバーがみっちり繁茂
図11●斜面の起伏などにかかわらず、全面にクローバーがみっちり繁茂
第2期でクローバーを植えた場所(出所:日経BP)
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 クローバーの植栽を試みるメガソーラーは多いものの、うまく生育していない例も目立つ。例えば、斜面の下側では根付いても、上側では定着せず、雑草が繁茂していることも多い。

 しかし、泉崎の第2期では、斜面の傾斜状況によらず、全面にしっかりと根付いている。ここにも、ゴルフ場時代からの植栽ノウハウが生かされているようだ。

 一方、ゴルフ場時代にはなかったのが、特別高圧送電線に連系するメガソーラーで必要な、第2種の電気主任技術者による電気保安管理業務となる。

 山間にある場所のため、近隣から資格所有者を確保することは、現実的に難しい。

 そこで、隣の栃木県に住む資格所有者が担当している。もちろん、電気事業法で定められた、2時間以内に現地に駆けつけられる範囲になるという。

 この資格者の採用でも、既存事業が生きたという。同社グループでは、栃木県那須町でリゾートホテル「ラフォーレ那須」を運営している。このホテルのネットワークから資格所有者に巡り合った。

●発電所の概要
名称森トラスト・エネルギーパーク泉崎
所在地福島県西白河郡泉崎村太田川大高向1(旧・ラフォーレ白河ゴルフコース)
敷地面積約148ha
(発電設備の設置面積は第1期:約6.4ha、第2期:約22ha)
発電事業者森トラスト
太陽光パネル容量約10MW
(第1期:約2MW、第2期:約8MW)
パワーコンディショナー(PCS)容量10MW(第1期:2MW、第2期:8MW)
年間予想発電量約1080万kWh(一般家庭約3200世帯の消費電力に相当、第1期:約230万kWh、第2期:約850万kWh)
投資額約40億円
EPC(設計・調達・建設)サービスきんでん
太陽光パネル 非公開
(国内・海外メーカー製を併用、第1期:約1万枚、第2期:約3.2万枚)
太陽光パネル低部の設置高さ・設置角約60cm・20度
アレイ内のパネル上下間隔約20cm
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(出力500kW・直流入力電圧1000V対応機:第1期・4台、第2期・16台)
O&M(運用・保守)森トラストグループ
発電開始日第1期:2013年8月、第2期:2018年5月
固定価格買取制度(FIT)に基づく買取価格(税抜き)第1期:40円/kWh、第2期:36円/kWh
売電先第1期:東北電力、オリックス、第2期:東北電力