春分と秋分に影がかからない間隔

 こうした一般的なパネル設置の場合、太陽の南中高度が年間で最も低くなる冬至の日でも、発電量を稼げる午前9時から午後3時までは、アレイの影がパネルにかからない。逆に言うと、一般的なパネル配置の設計では、冬至の午前9時から午後3時でもパネルに影がかからないように、アレイとアレイの離隔距離を確保することが多い。こうすれば年間を通じて、発電量の多い午前9時から午後3時の間にパネルが影にならない。

 仮に8段アレイの「亘理太陽光発電所」に、「冬至の午前9時から午後3時でもパネルに影がかからない」という条件で、アレイ間隔を確保すると離隔距離は、「約3.8m」にもなるという。というのは、8段アレイともなると、アレイの幅(奥行)は約8mにもなり、設置角10度でも、アレイ後方・最高部の高さは2.7mに達するからだ。

 だが、実際の「亘理太陽光発電所」のアレイ間隔は、「1.4m」と半分以下。実は、同発電所のアレイ間の離隔は、「春分と秋分の午前9時から午後3時の間に、太陽光パネルにアレイの影がかからない距離」を採用した。春分と秋分は太陽の南中高度が夏至と冬至の中間、つまり、秋分から冬至そして春分に至る1年の半分は、パネルに影がかかることになる(図6)。

図6●「亘理太陽光発電所」のアレイ設計。春分と秋分の午前9時から午後3時の間に、太陽光パネルにアレイの影がかからない距離」を採用した。KCアレイは京セラ製、SFアレイはソーラーフロンティア製パネル
図6●「亘理太陽光発電所」のアレイ設計。春分と秋分の午前9時から午後3時の間に、太陽光パネルにアレイの影がかからない距離」を採用した。KCアレイは京セラ製、SFアレイはソーラーフロンティア製パネル
(出所:山佐)
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 それでも、こうした設計を採用したのは、コンピューターでシュミレーションした結果、半年間、パネルの影になることによる発電量の損失よりも、面積効率を上げてパネルの設置枚数を増やした方が、年間の発電量は多くなるとの分析からだった。同社の試算による年間予想発電量は7588万kWhで、PCSと連系機器の設備利用率は17.57%に達する。国内の新設メガソーラーの設備利用率は15~16%と見られるので、東北地方にありながら、全国平均を数ポイントも上回っていることになる。

 「亘理太陽光発電所」のアレイ間隔が狭く、面積効率がいかに高いかは、隣接する一般的な設計のメガソーラーと比べると一目瞭然だ。ドローンで上空から撮影した画像を見ると、一般的な設計のメガソーラーでは、アレイ間の地面が見えるのに対し、「亘理太陽光発電所」は地面が見えず、パネルが面状につながっているようだ(図7)。

図7●手前が一般的なメガソーラー設計、奥が「亘理太陽光発電所」
図7●手前が一般的なメガソーラー設計、奥が「亘理太陽光発電所」
(出所:山佐)
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