電柱を立てられず、保護管で800mの自営線

 長崎市総合運動公園の隣接地にある出力約1.9MWの「SOL de 長崎 柿泊」(図8)は、採石場の中にある。すでに砕石を終え、平坦になった場所に立地する。隣の斜面では、採石が続いている。

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図8●長崎市総合運動公園の隣接地にある「SOL de 長崎 柿泊」
図8●長崎市総合運動公園の隣接地にある「SOL de 長崎 柿泊」
採石場に立地。出力は約1.9MW(出所:上はチョープロ、下は日経BP)
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 メガソーラーが設置される以前は、運動公園で来客の多いイベントが開催される際、臨時駐車場として使われる場合もあった。着工前までは、サッカーのJリーグに加盟するV・ファーレン長崎の公式戦時が、その対象となっていた。

 同チームが2013年春、諫早市にあるスタジアム(長崎県立総合運動公園陸上競技場)に本拠地を完全に移したことで、メガソーラー建設地が臨時駐車場として使われなくなった。そのタイミングを待って施工した。2013年8月に着工し、2014年2月に売電を開始した。

 連系先となる高圧送電線まで、自営線を約800m敷設した(図9)。自営線は、隣接地となる運動公園の外周の敷地を通り、連系点まで敷設する。

図9●送電ケーブルと通信用の光ファイバーを保護管に収めて敷設
図9●送電ケーブルと通信用の光ファイバーを保護管に収めて敷設
約800m敷設した自営線(出所:日経BP)
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 運動公園の敷地内では、電柱を立てることが禁じられていた。そこで、送電ケーブルと通信用の光ファイバーを保護管に収め、地面から浮かせるように配置した。

 また、稼働後に太陽光パネル出力を、当初の約1.5MWから約1.9MWに増設した(図10)。敷地の南側の法面に近い位置には、パネルを配置できないと想定し、余裕をもって距離を空けてパネルを配する設計にした。しかし、実際に設置してみると、設計で空けた場所の中にも、パネルを配置できるスペースがあったことから、後から追加したという。

図10●パネル出力を当初の約1.5MWから約1.9MWに増設
図10●パネル出力を当初の約1.5MWから約1.9MWに増設
左が既設分、右が増設分。基礎や架台の経年による色の変化が異なる(出所:日経BP)
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発電所の概要
発電所名SOL de 西海 八木原
所在地長崎県西海市西彼町八木原郷3062-1ほか
設置面積3万4647m2
出力0.99MW
年間予想発電量約104万kWh
施工費約3.8億円
発電事業者チョープロ(長崎県西彼杵郡長与町)
EPC(設計・調達・施工)サービス九電工
O&M(運用・保守)チョープロ
太陽光パネルソーラーフロンティア(東京都港区)製(6900枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
着工時期2013年2月
売電開始時期2013年6月
FITによる売電価格40円/kWh(税抜き)
売電先長崎地域電力(長崎県西彼杵郡長与町)
発電所の概要
発電所名SOL de長崎 柿泊
所在地長崎市柿泊町1887番地3ほか
設置面積4万1964m2
出力約1.9MW
年間予想発電量約161万kWh
施工費約4.4億円
発電事業者チョープロ
EPCサービス          九電工
O&Mチョープロ
太陽光パネルソーラーフロンティア製            
PCS             TMEIC製
着工時期2013年8月
売電開始時期2014年2月
FITによる売電価格40円/kWh(税抜き)
売電先長崎地域電力