堤体の定期修繕に配慮

 こうして開発した最初の水上設置型の太陽光発電所が、出力1.428MWの「河原山池水上太陽光発電所」である(図6)。2015年7月に着工し、同年12月に発電を開始した。

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図6●出力1.428MWの「河原山池水上太陽光発電所」
図6●出力1.428MWの「河原山池水上太陽光発電所」
フロートを連結した長方形状の面が、段々にズレながら浮かぶ(上)。フロートやパネルは、水鳥が立ち寄る場所になっている(下)(出所:上は二川工業製作所、下は日経BP)
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 河原山池は、天満大池の子池にあたり、農業用ため池の機能も持っている。天満大池は、農林水産省が、農業用の水源として秀でた特徴を有する全国の100カ所のため池を選んだ、「ため池百選」の一つである。希少種のアサザが生育していることでも知られる。

 太陽光発電所の設置に伴う水面使用料は、池を所有する天満大池土地改良区に支払っている。年間発電量は約171万kWh、年間売電額は約5400万円を見込んでいる。

 河原山池の面積は5.3ha、貯水量は30.5万m3となっている。この面積のうち、約23%を太陽光パネルやフロートが覆っている。

 ユニークなのは、フロートを連結して構成した長方形状の「面」が、段々にズレながら浮かんでいる点にある。導入コストや施工の効率を考えると、理想的な配置ではない。

 パネルを真南に向け、長方形の面を浮かべた。その島を段違いにせずにつなげることが望ましいが、池の管理を阻害しないように、段々にズラした。数年間おきに、定期的な堤体の改修工事があり、その際の重機による作業を考慮した。

 シエル・テール製のフロートは、設置角が12度に設定されており、シャープ製のパネル(250W/枚)を5712枚、12度に傾けて浮かべた。

 PCSは、TMEIC製を採用した。パネル出力の1.428MWに対して、PCS出力は1.25MWで、約1.14倍の過積載とした。

 池には通常、平坦な場所がない。そこで、水上設置型の太陽光発電所では、池の敷地外の隣接地に、PCSや昇圧変圧器(キュービクル)などを置くことが多い。

 河原山池には、池の敷地内に平坦で、広い場所があった(図7)。この場所にPCSや昇圧変圧器を置いた。施工中には、資材置き場や、フロートの連結といった作業場に使った。

図7●ため池の敷地内にある平坦な場所にPCSや昇圧変圧器を置いた
図7●ため池の敷地内にある平坦な場所にPCSや昇圧変圧器を置いた
左奥の場所は、フロートの連結などの作業にも使った(出所:日経BP)
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 この河原山池の発電所以降、桜下池(神崎郡福崎町、出力808.5kW)、長池西(姫路市船津町、1.078MW)、十万池(加西市和泉町、490kW)の買取価格32円/kWhの水上の案件が稼働している。また、長池東(神崎郡福崎町、2.156MW)が施工中となっている。

 買取価格27円/kWhでは、桜上池(神崎郡福崎町、出力1.98MW)、立会池・奥池(姫路市林田町、835kW)、焼野池(姫路市船津町、1.708MW)、護侍ヶ池(加西市朝妻町、572kW)が開発中となっている。