組み立て速度が約120枚/日に高速化

 このうち長池東(神崎郡福崎町)で、フロートを使った水上設置の太陽光発電所の施工の様子を取材した(図8)。

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図8●長池東水上太陽光発電所の施工の様子
図8●長池東水上太陽光発電所の施工の様子
堤体を傷つけないような手法で足場を作り、作業していた(出所:日経BP)
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 長池には、堤体を横切るように浅い区切りがあり、水の少ない時期には、西側と東側に分かれる。西側には、すでに出力1.078MWのメガソーラーが完成し、2016年3月に売電を開始している。

 もう一方の東側で、出力2.156MWの水上メガソーラーの施工が進んでいた。

 池の敷地内には、十分な広さの平坦な場所はない。そこで、近くの瓦工場の空き地を借り、資材置き場とした(図9)。

図9●近くの瓦工場の空き地を資材置き場に
図9●近くの瓦工場の空き地を資材置き場に
水上メガソーラーでは、平地の確保がポイントに(出所:日経BP)
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 もし、十分な広さの資材置き場を確保できない場合、フロートを池に浮かべて保管しておくこともあるという。

 水上設置型の施工では、船上での作業を最小限に抑えることが、施工の効率を上げ、コストを下げるポイントの一つとなる。一方で、池の機能や景観を損なうような手法は採用できない。

 フロートを連結し、太陽光パネルと接続箱を池の上に浮かべる工程を、最大限まで地上で済ませることが有効になる。

 ただし、池は道路などに囲まれている場合が多く、かつ、堤には手を加えられない。そこで、長池東では、堤を傷つけずに足場を組んで作業していた。

 まず、フロートの部材を、一つのストリング(接続箱への入力単位)分ごとに、横に並べていく(図10)。次に、太陽光パネルをフロートに固定する。今回は14枚のパネルで一つのストリングを構成するため、14枚のパネル固定用、接続箱や送電ケーブルの固定用、その周辺の足場用などの部材を連結する。

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図10●足場で太陽光パネルを固定し、フロートを連結
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図10●足場で太陽光パネルを固定し、フロートを連結
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図10●足場で太陽光パネルを固定し、フロートを連結
接続箱に入力する単位(1ストリング14枚×11本)で面のような状態に連結し、船で配置する場所まで引いていく(出所:日経BP)

 横一列に組み上げた1ストリング分のフロートは、足場から池の水面に浮かべる。浮かべるといっても、足場近くに滞留しておく。

 接続箱には、11本のストリングの発電電力を入力する。そこで、この作業を11回繰り返し、1ストリング分の横の列を、11列分つなげ、面のような状態に連結して浮かべる。この状態で、船を使って配置する水面の場所に引いていく。

 効率性を考え、足場での組み立て作業は、基本的に5人一組で従事する。施工の速度を上げたい場合、数人を追加しても、それほど効率は上がらないため、足場の場所を広げ、5人単位で増やしていくという。

 組み立て作業の速度は、美樹工業が初めて水上設置型を手掛けた際には、約80枚/日だったが、現在は約120枚/日と、大幅に効率が上がっている。

 足場でフロートを組み、太陽光パネルを固定するといった作業に慣れ、速度が上がった。さらに、当初は、5人がそれぞれ個別に作業していたが、慣れるうちに、適切に役割分担して連携できるようになり、作業がシステム化していった。

 実際に、工場内で工業製品を組み立てているように見えるほど、組み立てがスムーズに進んでいた。