この接続箱関連の工程も改善した(図13)。当初は、太陽光パネルとともに、接続箱もフロートに固定してから、船で引いていた。しかし、最後列の接続箱以外は、接続箱の下に、後ろの列の接続箱からの送電ケーブルを配置する。最初から接続箱が固定されていると、送電ケーブルを接続箱の下に固定する作業の効率が悪くなる。
この配線の作業の効率を上げるため、足場で接続箱は固定せず、送電ケーブルの接続と、接続箱の固定を一体化した手法に変えた。
まず、最後列の接続箱を固定し、送電ケーブルを前の列のフロートに固定する。次に、その前の列で、同じ作業をする。この作業を、最前列まで繰り返す。
足場での組み立てと、接続箱の配線の工程などの改善により、現在は、1カ月間で約500kWの発電設備を施工できるようになっている。
船上やフロート上での作業(図14)は、夏は涼しくて良いが、冬は風が避けられないため、より寒さを感じる環境になるという。また、雨の日には、フロートが濡れ、足元が滑りやすくなるため、とくに留意する。
●発電所の概要
発電所名 | 河原山池水上太陽光発電所 |
---|---|
所在地 | 兵庫県稲美町(河原山池) |
設置面積 | 1万5943m2(水面面積の約23%) |
発電事業者 | 二川工業製作所(兵庫県加古川市) |
水面賃貸者 | 天満大池土地改良区 |
太陽光パネル容量 | 約1.428MW |
パワーコンディショナー(PCS)定格出力 | 1.25MW |
年間予想発電量 | 約171万kWh(一般家庭約475世帯分の消費電力に相当) |
EPC(設計・調達・施工)サービス | 美樹工業(兵庫県姫路市) |
太陽光パネル | シャープ製(水上専用の受注生産品、出力250W/枚、5712枚) |
PCS | 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製 |
フロート | フランスのシエル・テール・インターナショナル製 |
着工 | 2015年7月 |
売電開始 | 2015年12月 |
買取価格(税抜き) | 32円/kWh |