売電量は15%上振れし、年間1億円の売電額
「香取市与田浦太陽光発電所」の建設にあたっては、軟弱な地盤への対応が課題になった。地耐力が低いため、スクリューアンカーを設置した置き基礎を採用した。液状化被害の復旧で除去した砂を50cm程度の厚さに敷き詰め、振動ローラ車で転圧。そこに数十cmの深さから型枠を固定して、現場でコンクリートを打った(図5)。
シャープ製の多結晶シリコン型パネル(245W/枚)を横置き7列・4段で28枚を1アレイ(パネルの設置単位)とし、1アレイを前列5つ、後列5つの計10個の基礎で固定した。
EPC(設計・調達・施工)事業者は、公募プロポーザルによって水郷電設(香取市)となった。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。香取市では、自立型PCSを導入して、災害時にも自立運転して蓄電池などに充電できるようにすることも検討したが、需要施設と離れているなど、費用対効果がよくないことから、売電事業として収益の最大化を優先したという。
O&M(運営・保守)も水郷電設が担当し、実際の除草作業などは地域住民のグループに委託しているという。同グループでは、隣接した空き地にコスモスなどを植栽している。
事業計画では、年間予想発電量は約236万kWh、売電額約9000万円を見込んでいた。実際には、発電量は稼働以来、10%以上上振れしており、売電額は年間約1億円に達している。20年間の運営経費は約8億円を見込んでいるので、10億円以上が利益として残る可能性もある。
リース方式にした場合、こうした収益のうちかなりの割合がリース会社の手数料となるが、「直営」のため、利益の全額が市の歳入となる。香取市では、太陽光発電の売電収入を基金として管理し、学校などへの太陽光発電、蓄電池システムの設置や、一般の住宅向け太陽光の設置補助金など、再エネ普及に活用する方針だ。