地域新電力の経済メリットは年7500万円
実は、成田市と香取市は、千葉ガス、千葉銀行などとともに2015年度に「地域エネルギー事業会社設立検討会」を開催し、地域新電力の事業性を検証してきた。その結果、成田市と香取市の2市で地域新電力を設立した場合、両市合計で年間7500万円の経済効果が見込めることがわかった(図7)。
シミュレーションでは、公共施設の電力コストを12%削減することで6700万円、売電電力を3%高く販売することで800万円の経済効果となった。そのうち香取市では、電気代の削減額で2600万円、太陽光発電の売電収入の増収額が600万円と試算された。
こうした経済メリットが得られるのは、昼夜の電力需要の差が大きく負荷率の低い公共施設は、基本料金を含めた電気料金の単価がもともと割高になっていること。加えて、地域新電力自体は収益を追及しないため、既存の新電力から購入してもここまで自治体のメリットは得られないという背景がある。
ただ、電力小売事業には、電力の需要と供給の計画が、実際の需給と一定以上、乖離した場合、インバランス料金が課せられ、事業性の悪化するリスクがある。一般的に販売量の規模が小さいほど、インバランスのリスクは多くなる。
そこで、成田香取エネルギーは、洸陽電機の主宰するバランシンググループ(代表契約者制度)に参加し、同社が需給バランスを管理する。ごみ発電と太陽光発電で不足する分は、同社からの調達で賄う。
洸陽電機のプロポーザル内容では、バランシンググループ内での成田香取エネルギーの位置づけは、インバランスリスクの経済的な負担が及ばないような契約になっているという。そもそも、洸陽電機に地域新電力への出資を依頼したのも、単にバランシング業務を委託するだけでなく、地域新電力の経営リスクを負うことで、新電力会社の収益が悪化しないように努力することを期待している。