成田市のごみ発電がベース電源を担う
こうしたスキームを洸陽電機が受け入れた背景には、太陽光とごみ発電という2つの電源からの電力供給パターンが、公共施設の需要ロードカーブとほぼ一致するため、インバランスのリスクが相対的に小さいことが背景にある。
電気設備の待機電力などのベース需要をごみ発電が担い、日中の空調などの需要ピークを太陽光が担うという補完関係が成り立つ。学校や公共施設は、「点灯ピーク」と呼ばれる夕方から夜にかけて需要ピークのないことが、需給バランスを容易にしている。
地域新電力の多くは、公共施設に加え、一般市民への電力供給も目指しているが、成田香取エネルギーは、現段階では一般市民など低圧需要家への電力供給を予定していない。点灯ピークのある住宅への電力供給は、インバランスのリスクを高めるという冷静な判断が背景にある。
2014年10月に成田市が、富里市と共同で最新型のごみ焼却施設を稼働させていたことも、今回の新電力設立に追い風となった(図8)。シャフト式のガス化溶融炉(処理能力106t/日・2炉)だ。平均的に180~190t/日を処理しており24時間連続で運転し、発電している。新設前の旧式のストーカー式焼却炉では発電する機能はなかったという。
導入したガス化溶融炉は川崎技研(福岡市)が開発・設計したもの。廃棄物を焼却するのではなく、まず低酸素状態で可燃分をガス化し、残った不燃分は酸素を吹き込んで溶融してスラグにする仕組み。取り出したガスのうち可燃分(水素、一酸化炭素)は、1650~1800℃で完全燃焼させ、その排熱で高温蒸気をつくりタービン発電機を回す(図9)。