ごみ発電の売電額が年200万円増加

 出力3MWを発電し、そのうち約2.4MW分は溶融時に吹き込む酸素の製造に使い、余剰分の0.6MW分を売電している。定期点検などで1炉を止めている場合など、余剰電力がなく売電できないこともあるが、年間を通じほとんど売電しているという。

 これまで東京電力グループに売電していた。廃棄物のうちバイオマス比率(生ごみや紙、木などの生物由来の成分)は約50%で、その分はFIT対象になる。売電額はFIT対象外も含め、全体で月約500万円。地域新電力に売電先を切り替えることで、売電単価は3%高くなる見込みだ。年間で約200万円の増収となる。

 地域新電力が、メガソーラーとごみ発電の電力を公共施設などに供給するというスキームでは、静岡県の浜松市と民間企業が出資した浜松新電力(浜松市)のケースがある。

 ただ、浜松市の場合、メガソーラーは、民間企業に市有地を賃貸し、発電事業者は民間企業となっている。また、市の地域新電力への出資は8.33%に留まっており、より民間主導の側面が強い。浜松新電力は、市内の企業(高圧需要家)にも電力を供給しており、「市内の企業に安い電力を供給して、企業活動を支援したい」との狙いがある。

 一方、香取市は、成田市と連携し、市の直営の発電所の電気を公共施設で使うことで、市の収益を高め、それを原資に、市内の再エネ促進に役立てる、という考え方だ。

 地域資源である再エネを積極的に開発して地元に供給し、地域活性化に生かすという目的は同じでも、そのスキームには様々な手法がある。今後、香取市と成田市の連携、そして、浜松市の取り組みが、どのように発展していくのか、注目される。

●設備の概要
発電所名香取市与田浦太陽光発電所
住所千葉県香取市津宮4992番地ほか
発電事業者香取市
土地所有者香取市
設置面積約3.25ha
出力太陽光パネル容量・2.1266MW、連系出力・1.75MW
年間予想発電量約236万kWh
EPC(設計・調達・施工)サービス水郷電設
O&M(運用・保守)水郷電設
太陽光パネルシャープ製(245W/枚)・8680枚
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製・500kW機3台、250kW機1台
売電開始日2014年3月25日
買取価格40円/kWh
建設コスト6億2000万円