低コストのガラス分離技術を見出す

 また、ミクロンメタルとは、太陽光パネルのマテリアルリサイクル(材料の再利用)で連携している。2017年3月から共同で、パネルのリサイクル事業を展開する。

 大友社長は、「使用済みの太陽光パネルは、いずれ日本全国から大量に排出されることになる。その際、広域に運搬するのではなく、各地域で地元企業が最初の分解処理を担っていくことが、効率的なリサイクルシステムの構築に必須」と、考えている。

図10●研磨剤を噴射するブラスト装置でカバーガラスを分離(出所:日経BP)
図10●研磨剤を噴射するブラスト装置でカバーガラスを分離(出所:日経BP)
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図11●EVA(封止材)を傷付けずにガラスを剥離できる(出所:日経BP)
図11●EVA(封止材)を傷付けずにガラスを剥離できる(出所:日経BP)
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 そのためには、「地域の企業でも、無理なく投資できる低コストのパネル分解装置が求められる」(大友社長)。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は昨年9月、太陽光パネルのリサイクル技術の実証を民間企業に委託した。同実証事業では、加熱したカッターで、ガラスとEVA(封止材)を分離する方式を採用した。こうした方式だと、装置が大掛かりになり、初期投資が上がってしまう課題があった。

 そこで、エーシーは、ミクロンメタルに依頼し、研磨剤を使った低コストのガラス分離技術を開発し、実用化にめどを付けた(図10)。この技術を活用し、来年4月から、使用済みパネルのリサイクル事業に乗り出すことにした。

 仕組みは、まず使用済みパネルを有料で引き取り、アルミニウム製フレームと電極・端子ボックスを外した後、カバーガラスとEVA(封止材)を分離する(図11)。分解した各部材は、それぞれの素材の専門リサイクル事業者に有価物として販売する。