工場の運営を妨げない送電ルートに腐心

 また、千葉工場に設置した太陽光の連系点は、最初に設置した倉庫の近くにあり、アルミ製造棟に「増設」した発電設備からは遠く離れている。連系用の昇圧変圧器(キュービクル)まで、どのようなルートで送電ケーブルを敷設するかが課題となった(図6)。

図6●工場内のメインの通路の上に架線
図6●工場内のメインの通路の上に架線
7m以上の高さに上げ、その下に目印や赤色LEDをつけた。下はその部分を拡大(出所:日経BP)
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 最も懸念されたのは、工場内のメインの通路を横断することだった。電柱を使って架空送電することにしたが、出入りする大型車が接触しないように、7m以上の高さが必要になった。さらに、安全のため、通路上の送電ケーブルの下には、赤い線や黄色の目印を付けた上、夜間の視認性向上のため、赤色LEDを取り付けて発光させることで、工場全体の了解を得た。

 一方、高槻市の工場には、加工・組み立て工程しかないので、千葉工場ほどには制約はなかった。施工を機に、加工・組み立てラインのレイアウト変更も計画されていたことから、稼働を止めて、建物の耐震補強を施工できた(図7)。

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図7●高槻市の工場の建物の補強
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図7●高槻市の工場の建物の補強
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図7●高槻市の工場の建物の補強
稼働を止めて施工できたほか、屋外に付帯設備が少ないため、千葉工場とは異なる手法を採用。門型のアウトフレーム(上)、内部には大きな柱梁(左下)、天井へのブレス(右下)を追加(出所:不二サッシ)

 同じ補強でも、高槻市の工場では、建物外部にはより安定性の高い門型のアウトフレームのほか、稼働を止めたことから、内部では大きな柱梁、天井へのブレスを追加するという、比較的容易な方法を採用できた。

 千葉工場で、アウトフレームにこのような門型を採用できなかったのは、建物の近くに付帯設備が多くあるためである。