メガソーラー横で「木製サッシ」を製造

 十和田市は、かつて明治政府が軍馬育成所を設置したこともあり、馬の産地として知られる。東京組が、2015年1月に稼働した「オオタ牧場太陽光発電所」は、馬牧場の縮小によって未利用になっていた場所だった。農業振興地域だったが、農用地区域外農地(白地)であったため、農地転用なしにメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設できた。

図11●建設中の木製サッシ工場(出所:東京組)
図11●建設中の木製サッシ工場(出所:東京組)
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図12●木製サッシ工場の完成予想図(出所:東京組)
図12●木製サッシ工場の完成予想図(出所:東京組)
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 現在、同発電所に隣接し、木製サッシ工場の建設が進んでいる(図11)。12月には完成し、来年1月以降、試験的に生産を始める予定だ(図12)。「木製サッシ」とは、窓枠の材料にアルミニウムでなく、木材を使ったサッシ。木はアルミに比べ、熱を通しにくいため、暖房や冷房時の熱損失が大幅に減り、住宅の省エネ性が大幅に向上する。

図13●木製サッシの前に立つ東京組・加藤常務と中野渡会長(出所:日経BP)
図13●木製サッシの前に立つ東京組・加藤常務と中野渡会長(出所:日経BP)
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 材料の熱伝導率を比較すると、木はアルミに比べて、1200倍も熱を伝えにくいという。

 東京組の中野渡会長は、「欧米では、熱伝導率の高いアルミだけで窓枠を作ることは、省エネの観点から禁止されている地域さえあり、木製サッシが普及している。日本は一流の工業国でありながら、サッシに関しては後進国。日本のスギを使い、木製サッシを低コストで製造することで、日本に広めていきたい」と、意気込む(図13)。

 先進国のサッシ市場に占めるアルミ比率を見ると、米国で16.0%、ドイツで21.2%、フランスで34.0%などになっており、米国では24州でアルミサッシは禁止されているという。