雨水については、3カ所の大きな調整池で吸収するとともに、太陽光パネルを並べた区画のうちの7つの区画も、調整池として活用している(図5)。外周に堰堤を築いて区画内に水が貯まるようにし、大きな調整池に集中的に水が集まりすぎない設計とした。
この7つの区画では、雨水がたまってくると、基礎は水に浸かり、架台と太陽光パネルが池の上に立っているような状態になる。
ここで雨水が一定以上の高さまで貯まると、区画の低部に設けられた排水口から、調整池に繋がる水路に流れていく。この排水口は、2段階に分けて雨水を水路に流していく(図6)。
まず、水の高さが30cmを超えると、第1段階の排水口から水路に水が流れる。それでも水位が上がり続け、50cmに達すると、第2段階の排水口から水路に水が流れる。こうして、急激に雨水が調整池に集まりすぎないようにしている。
太陽光パネルは、横向き4段で、設置角は20度、最低部の高さは50cmを基本に設定している。雪が多く積もる地域ではなく、この設置角・高さで十分という。
太陽光パネルは、京セラ製の多結晶シリコン型で、出力270W/枚が9万2070枚、280W/枚が1万1880枚と、二つの異なる製品で構成されている(図7)。
元の計画では、出力270W/枚のみを並べる予定だったものの、約28MWと規模が大きいために工期が長く、その間に京セラの製品が切り替わることになったために、出力280W/枚のパネルも使うことになった。この一部のパネルの変更は、経済産業省に届け出た。
パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製の出力750kW・直流入力電圧1000V対応機を採用した(図8)。これを35台設置した。PCSの隣で22kVに昇圧し、連系時には60kVに昇圧している。
PCSの設置では、独自の工夫も施した。基本的に4台ずつを一つの基礎の上に設置し、屋外設置用の筐体一つに2台ずつを収めている。基礎の上には、屋外設置用の筐体が二つずつ並んでいる。
それぞれの屋外設置用の筐体の外には、内部を冷却するための空調の室外機が設置されている。室外機からの高温の排気は、対面するもう一つのPCSの筐体に向かって流れていくことになる。そのままでは、隣り合う筐体の室外機同士が、排出した高温の空気を浴びせあうような形となり、空調の効率が落ちてしまう。
こうした隣り合う筐体の室外機間の高温の空気の干渉を抑えるため、大きな防風板を追加した。出力規模から推定すると、PCSの空調のための電気代は、1年間で1億円近くに上ると見られ、こうした工夫による節電効果は大きい。
PCSから敷地内を送電する電線は、基本的に電柱を立てて敷設されている。これは、地中に岩石が多いために、地中埋設を採用しにくかったからという。PCSへの配線も、地上に敷設されている。
この岩石のために、杭基礎の設置も苦労したという。先に地面を掘り、セメントを流し込んで杭基礎の周囲を固める手法を採用した(図9)。
杭基礎はトラバース(千葉県市川市)製、架台はカメイ(仙台市青葉区)製を採用した。