1984年から発電システムを手がける

 EPCを担当した京セラソーラーコーポレーションは、社名の通り京セラの100%子会社で、太陽光発電システムの設計や販売、施工などを手がけている。

 京セラの太陽光発電システムは、1984年に千葉県佐倉市に設置した「佐倉ソーラーエネルギーセンター」が原点ともいえる(図10)。事務所棟の屋根の上に出力43kW分の太陽光パネルを並べた(関連コラム:国内パネルメーカーの“品質戦略” 京セラの“こだわり”)。

図10●「佐倉ソーラーエネルギーセンター」
図10●「佐倉ソーラーエネルギーセンター」
1984年に太陽光発電システムを設置(出所:日経BP)
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 京セラソーラーコーポレーションの後藤政治社長によると、稼働から40年間近くが過ぎた現在も発電を続けており、京セラ製の太陽光パネルや太陽光発電システムの長期信頼性の高さを示す施設という。

 その後、1996年に京セラソーラーコーポレーションを設立し、同社が発電システムの設計や販売、施工、保守までを手がける体制とした。2016年に、京セラはグループ会社の集約や統廃合を進め、営業については、京セラ本体が担当し、京セラソーラーコーポレーションが、発電システムのEPCやO&Mなどを担当することになった。

 固定価格買取制度(FIT)が始まる前に、すでにメガソーラーのEPCも担当していた。電源開発が、NEDOの補助事業を活用して導入した、北九州市響灘地区に建設した出力約1MWのメガソーラーである。

 EPCの受託は、FITが始まると加速的に増えた。EPCの受託実績は、FITがスタートしてからの累計で、362カ所・合計出力379MW(2018年3月現在)となっている。 2017年度の単年度でも、約49カ所・合計出力約40MWとなっている。

 EPCを受託した太陽光発電所には、O&Mのサービスも提案する。O&Mの受託率は高いとし、324カ所・合計出力414MW(2018年9月現在)の発電所から受託している。宮城・黒川メガソーラーも受託している(図11)。

図11●宮城・黒川メガソーラーの点検の様子
図11●宮城・黒川メガソーラーの点検の様子
取材時には、2人一組で接続箱を点検していた(出所:日経BP)
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 他社と比べたEPCの特徴は、京セラ製という性能と長期信頼性の高さで定評のある太陽光パネルを使うことだけでなく、発電システム全体でも性能や安全性、長期信頼性を高めている点にあるという。

 EPCとして発電事業者に提案する発電設備については、太陽光パネルは必ず京セラ製とする。PCSについては、発電所ごとに適切な機種やメーカーを選んで提案している。ドイツSMAソーラーテクノロジー、日新電機、GSユアサ、TMEIC、スイスABB、中国の華為技術(ファーウェイ)などの機種を提案してきた。

 PCSでは、従来の集中型に加えて、小型の機種を使う分散型の選択肢も出てきた。京セラソーラーコーポレーションによると、分散型は導入コストでは利点もある一方、O&Mにおいては、メンテナンスの負担が相対的に大きい場合があるなど、運用まで含めた長期的な視点では、一概に分散型の方が利点が大きいとは言えないとしている。

 O&Mについては今後、他社がEPCを手がけた発電所からも受注を目指していく。

 自社でEPCを担当していない太陽光発電所へのO&Mサービスの提供には、難しさもある。設計や施工に関わっていないために、自社の基準に満たない作り方になっていたり、どのようなリスクが潜んでいるか、把握しにくいからである。

 同社によると、これまでのEPCの知見によって、発電所の状態を適正に評価でき、O&Mのみの受託時にも寄与するとみている。例えば、問題を抱えている部分を発見した場合、責任の所在を明確にした上で、受託できる条件であれば引き受ける。

●発電所の概要
発電所名宮城 · 黒川メガソーラー発電所
所在地宮城県黒川郡大和町小野字長岫
敷地面積52ha
太陽光パネル出力28.1853MW
パワーコンディショナー(PCS)出力26.25MW
年間予想発電量約3300万kWh (一般家庭約1万1100世帯分の消費電力に相当)
発電事業者京セラTCLソーラー
共同企画 · 地主坪井工業
設計京セラソーラーコーポレーション
調達・施工京セラソーラーコーポレーション · 坪井工業
運用・保守京セラソーラーコーポレーション
太陽光パネル京セラ製
(270W/枚・9万2070枚、280W/枚・1万1880枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(750kW・直流入力1000V対応機・35台)
着工2016年10月31日
稼働開始2018年6月21日
固定価格買取制度(FIT)上の売電価格36円/kWh(税抜き)
売電先東北電力