植栽土嚢で「みずみち」を形成
全国的にゴルフ場の跡地や建設予定地を活用したメガソーラーの開発が増えている。林地開発の用途変更によって建設することが多く、従来からの残地森林はほぼそのままにし、比較的平坦な18ホールのフェアウエイにパネルを設置する。そうしたケースでは、出力30MW前後分のメガソーラーになることが多い。
「アグリソーラー安平」も、同様に極力、本格的な造成を減らし、フェアウエイを中心にパネルを配置した。クラブハウスを解体し、造成した設置エリアが最大で、そのほかはフェアウエイに沿った約13の細長いエリアで構成した(図4)。
ただ、設置したパネルの総数は、ゴルフ場跡にしては少なく、約5万枚で約13MWに留まっている。その理由は、ローカル系統の熱容量に制約があり、北海道電力との連系協議の中で接続容量が12MWに抑えられたからだ。そのため、サイト内を見学すると、比較的、平坦でもパネルを設置していないエリアが多いことに気付く。
ゴルフ場跡地にメガソーラーを建設すると、従来からの排水設備を活用できる一方で、実際には、芝生に代わってパネルが敷かれるため、エリア全体の保守力は低下する。加えて、パネルには雨どいがないため、水道(みずみち)が変わってしまうことが多い。
そこで、パネル下には、植物の種を含んだ「植栽土嚢」を配置して、計画的に水道を形成させる試みを実施した(図5)。また、法面は緑化した上で、下に網柵を設置して水だけ逃がすことで、土砂流出による法肩の崩壊を防いでいる(図6)。