冬季の工事でセメント固化に遅れ

 EPCサービス事業者は、東芝プラントシステムに委託した。実は当初、パスポートは別の事業者に設計・施工を委託し、建設を進めていた。だが、「見積もりの段階で、予定していたコストをかなり上回り、急きょ、複数のEPC事業者に見積もりを依頼し、東芝プラントシステムの提案が最もコストダウンに勝っていた」(粟田常務)。

 東芝プラントシステムは、独自開発したY字型の基礎一体型架台「KiTyシステム」を持っており、起伏のある事業用地でも、効率的に施工できるノウハウがあった。加えて、効率的な人員配置の面で、他社に比べて有利な条件もあった。

 実は、安平町では、2015年12月に出力約111MWの「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」が運転を開始した。この国内有数の規模を持つメガソーラーのEPCは、東芝が担当し、東芝プラントシステムも架台設置などを手掛けた。2015年9月の「アグリソーラー安平」の着工は、「苫東安平ソーラーパーク」の工期終盤と重なったため、部分的に人員の配置替えするなど、近隣に2つのメガソーラープロジェクトを手掛ける利点を生かして、コスト削減につなげた面もあるという。

 ただ、完成した2つのメガソーラーの架台を比べると、同じ「KiTyシステム」を使っているが、架台を支える脚の本数が異なっている。本来、南北方向に1本脚のはずが、「アグリソーラー安平」では、南側手間に2本、細い脚が加わっている(図8)。

図8●南側に2本の脚を仮設置
図8●南側に2本の脚を仮設置
(出所:日経BP)
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 実は、細い2本の脚は、杭と架台をY字型に固定するために流し込んだセメントが完全に固まるまでの仮止めとして取り付けた。本来、こうした補助の支えがなくても、設計通り固まるはずだったが、工期の遅れで冬季に差し掛かり、固化に時間がかかって設計より南に傾いてしまう可能性があり、東芝プラントシステムの判断で設置したという。

 基礎と架台が想定したY字に固まった後は、強度上、これらの仮の柱はなくても問題ないが、あえて取り外すこともないので、そのまま残すことにしたという。